指揮棒が描く遥かな夢@蕨少年少女合唱団50周年記念演奏会
宝塚とは関係のない演奏会の話です。
9月7日の日曜日。埼玉県蕨市市民会館コンクレレホール。蕨少年少女合唱団創立50周年記念演奏会。身内が出演するので、出かけてきました。
蕨市内の小学校に生まれた男子合唱クラブが発展して、蕨市内全域から集まった男子児童児童による「蕨少年合唱団」となったのが昭和33年。それから50年の記念演奏会ということです。
25周年の年には「蕨少年少女合唱団」となり、OBによる「蕨男性合唱団」、OGによる「女性合唱団Mion」が発足。現在はこの3団体がコラボで活動することが多いそうです。この日も3団体合同の演奏会でした。
50年の間には、数々のコンクールや合唱祭、イベントに出演・出場。コンサートや演奏旅行も開催。あの大阪の日本万博でもその歌声を披露したとのこと。会場のコンクレレホールのロビーには、その歴史を物語る写真やパンフレットが展示されていました。OB・OGや父兄たちにとっては、ひとつひとつがきらめく大事な思い出に違いありません。
オープニングは、3団体による演奏。続いて「懐かしのメロディー~レパートリーで50周年を振り返る」と題されたパート。ここは、OB・OGにとっては、さぞ思い出深いものでしょう。休憩をはさんで少年少女合唱団による合唱組曲、続いてMionによるナンバー。少年少女合唱団には、まだ学齢前?と思われる小さい子どもさんも何人か混じっていて、長い演奏にくたびれちゃったのかな.....眠たげな様子が微笑ましくて、客席からは温かな笑いがこぼれていました。
けど、心温まるエピソードなのだけれど。小さいお子さんたちのナンバーは、演奏会の始めのほうだったらよかったのにね。したら、皆、もっと力いっぱい、元気いっぱい、歌うことができたかもしれないのにね......って思ったら、ちょっと残念ではありました。
男性合唱によるナンバーの後は、「今日のゲスト」。蕨少年合唱団を巣立ち、現在はNHK交響楽団に在籍するトロンボーン奏者・池上亘サンの演奏でした。池上サンは、黒いオーバーシャツに黒いパンツ......いかんも演奏家らしいラフなスタイルで登場。『ロマンス』という曲を演奏した後、蕨少年合唱団・蕨男性合唱団の思い出と、先生や先輩方への感謝の気持ちを軽妙なトークで語りました。
私は割と管楽器が好きで、ホルンとかオーボエとかの協奏曲なんか結構聴くのだけれど、トロンボーンの音色はあまりじっくり聴いたことがありません。中学のブラスバンドのイメージが強いのかな(あるいは某交響楽団の金管のせい?苦笑)......だけど、池上サンのトロンボーンの音色は、柔らかくて、やさしくて。トロンボーンて、こんなにロマンチックな音色を持つ楽器だとは知りませんでした。新発見!感動でした。
2曲目は、モンティの『チャールダッシュ』。浅田真央のスケートとか、サントリー「南アルプス天然水」のCMなどでも演奏されてる曲です。これってバイオリン曲ですよね。それを敢えてトロンボーンで演奏するという.....ご自分でも「挑戦」とおっしゃってましたが。バイオリンでも細かく指が動くような、素早く細かく音が変化する部分を、トロンボーンのパイプ(なんて呼ぶのでしょう??)を小刻みに動かして滑らかに演奏する様に、またまた驚き、感動しました。会場からも大絶賛の拍手。
そして3曲目は、男性合唱団とともに、美空ひばりの『川の流れのように』を。トロンボーンを自在に操る池上サン、素晴らしい!
最後は全員による合唱、さらに親交深い東京滝野川少年少女合唱団のメンバーを加えて『翼をください』を。50年の歴史を飾るにふさわしい大盛り上がりのうちに幕......と思ったら。
少年合唱団を創設された平林寛一先生が舞台に登場されました。15年前にご勇退され、以来二度と指揮棒を振ることはなかったそうです。今日のために特別に指揮をしてくださると、紹介がありました。
指揮台の上に椅子が用意されました。曲は『ふるさと』。先生は椅子に腰掛けて、指揮棒を手にされました。
指揮棒は、ふわり、と動き始めると、穏やかに、けれど確実に、拍子を刻み始めました。平林先生の指揮棒から、あたたかくやわらかな空気が生まれ、大きく膨らみ、舞台の上の団員たちを包み込むように広がっていくように思えました。平林先生は、創設以来ずっとこうして、大きな愛情で子どもたちを包み込み、夢でいっぱいにふくらませて、送り出してきたのでしょうね。まるで大きなシャボン玉を抱えて天に放つように.....
平林先生が作り出した、いくつもの小さな音楽のシャボン玉が、大きな音楽の空に放たれて、輝きを増している........先生の指揮棒が空間に描き続けたものは、音楽に懸ける遥かな夢だったのかもしれない。そう思いながら平林先生の背中を見つめていたら、思わず涙がこぼれそうになりました。関係者でもないのにね。ちょっと恥ずかしくなりましたが(苦笑)
終演後のロビーは、団員たちやその家族・友人たちでごった返していました。皆の笑顔がとても幸せそうで。この笑顔が何よりも大きな「夢」の証しなのかな......と思いました。いい演奏会でした。







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