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きっと叶うはず....夢は

ご縁があって、花組の若手娘役さんのお茶飲み会に出席させていただきました。

東京宝塚劇場からあまり遠くないレストランの一室。間近で見る若い娘役さんはとっても可愛らしくて。ふんわりしたワンピースも、すっきりとまとめた髪も、キレイにそろえて下ろした前髪も、レースに縁取られた胸元や耳元に光るアクセサリーも、つやつやした口元も、何もかも愛らしくて。司会の方に導かれてはきはきと楽しそうに話す、その様子もまた愛しくて。

何を見ても聞いても、蕩けそうな気持ちになりました。思わず目を細めて見つめちゃう。「砂糖菓子のような」という喩えは、なんて端的な表現なんだろうって思いました。若い女の子に甘々になるオヤジたちの気持ちがよくわかるというか.....(苦笑)

そのお茶飲み会の中で、『Home (私の夢が叶う場所)』という歌にこめる思いが語られました。

Dream 描き続けた夢も
いつか願いが叶うとわかるの
この舞台でいつの日か歌うのよ
きっと叶うはずよ
夢は

『ファントム』の公演のフィナーレ。パレードで出演者全員でこの歌を歌うたびに
この舞台でいつの日か歌うのよ

という言葉に、自分の夢を重ねていたこと。
きっと叶うはずよ 夢は

という言葉を信じて頑張ってきたこと。

涙を浮かべながら語る姿に、感動しました。その言葉を聞きながら、涙ぐむ方も少なくありませんでした。こんなに若くて愛らしいお嬢さんが、夢を目指して頑張っている......

夢はかなえるものと考える人もいれば、遠くにあって見つめるものと思う人もいる。夢を引き寄せようと努力する人もいれば、夢に近づくために努力する人もいる。夢を目指して頑張る人もいれば、夢を励みに頑張る人もいる........夢は手の届かないものと、手が届かないからこそ夢だという人もいると思うけど......

それぞれにそれぞれの夢の形がある。それぞれにかなえる夢の形がある。ひとつの夢がかなったとき、その先にまた、新たな夢が見える。その夢もまた、それぞれに違った形をしていると思う。

「夢は見るだけではなくかなえるもの。夢をかなえる道のりも夢」と、星組の新トップ・スターのお披露目の日、トウコさん(安蘭けい)はファンに向かって語りかけていました。「夢に向かって努力しましょう」と。

「夢」に「努力」は似合わない。夢の世界にいる間は、苦労につながる話は聞きたくない、という向きも少なくなかったようですが。私は「夢はかなえるもの」という考えに共感するし、そのための努力はすばらしいと思う。

宝塚歌劇の舞台に広がる夢は、その夢を見ることで現実を忘れさせてくれる、まったく別の世界、理想の世界であるけれども。
同時に、その世界に夢を見出し、夢をかなえようと頑張っている人たちがいる。夢をかなえようと頑張っている人たちが作り出す世界。その頑張る姿に、力づけられ、勇気づけられる。新たな希望を見つける。それも宝塚の「夢」のひとつの姿であり、大きな魅力のひとつなのだと思う。

昨夜の娘役さんは、今日も東京宝塚劇場の舞台で、夢に向かって頑張ってるはず。公演ごとに少しずつ成長し、変化する姿から、私たちは夢のかけらを受け取り、力を与えてもらうのですね。

トウコさん率いる星組は、今日、宝塚大劇場で千秋楽を迎えています。ひとつの大きな夢をかなえた今、その先に、どのような新しい夢を見出しているのでしょう....??? そして、私たちは、その夢に勇気づけられて、どんな新しい夢を見るのでしょうか....???

この気持ちを喜びと呼ぶのかな.......

宝塚大劇場に新しい一番星が誕生した日。

その日の夜に、そのちょうど4年前の日のビデオを見ていました。

2003年3月23日。東京宝塚劇場。星組公演『バビロン』千秋楽。前の前のトップスター、タータン(香寿たつき)のサヨナラ。

画面に公演のタイトルが現れて消えて。白抜きの文字で現れた日付。あれから4年がすぎたのだな、と。それはとても遠い昔のように思えるけど、すぐこの前のような気もする......はるか彼方の出来事を思い起こすような、ふっと気が遠くなるような。そんな気持ちで、その日付を見つめていました。

その前の年の秋まで、私にとって宝塚歌劇はメディアで楽しむものでした。幼い頃に初めて「宝塚のスターさん」に出会ってからずっと。それはテレビやビデオの画面の中の世界。『歌劇』『グラフ』。たまに都心に行くときに見かけるポスターの写真.......

けど、その前の年の秋に初めて花組『エリザベート』を宝塚大劇場で観劇して、すごく感激しました。その後のお正月に、BSで放映された中国公演『蝶・恋』『サザンクロス・レビュー in China』を見て。

やっぱり大好きなタータンを、ひと目劇場で見ておきたい!

1月の中ごろだったかな.....チケぴに電話をかけたのでした。けど、電話がつながったときにはすでに、どの公演も売り切れていました。
どうしても見たくて。けど、宝塚のチケットをどうすれば手に入れられるのかわからなくて。詳しい先輩に泣きついたのでした。

「香寿たつきが見たい......」

先輩に手に入れてもらったチケットで。先輩の隣で。それは2度めの東京宝塚劇場でしたが。2階席で、オペラグラスにかじりついていました。タータンの一挙手一投足、なにひとつ見逃すことのないように。オペラグラスの中で、タータンの姿が幾度となく涙で滲み、ゆがみ、揺れた......

どうしてもっと早くに見に来なかったのだろう..........

これがほんとうに最後だと思うと、悲しくて、切なくて、悔しかった。

白いお衣装の群れの中から抜け出した黒燕尾。タータンが大階段を駆け上がる。客席に向かって振り向いたそのとき、目の中の水が一度に湧き出るような気がした.........

このショーの中で、タータンがトウコさん(安蘭けい)の肩に手を置くシーンがある。すれ違いざまに軽く。「後はよろしく」とでも言うかのように。

千秋楽の日。身じろぎもせずに立ち尽くす....かのようなトウコさんに、軽やかに歩み寄ったタータンの手は、トウコさんの肩をつかんでいた。トウコさんは何かをこらえるように目に力をこめた....かのように見えた。

託す者。託された者。

それぞれの胸に去来したのは、どのような思いだったのだろうか.......


その頃、トウコさんがどういうスターさんなのかは、少し知っていました。今から思えばほんの少しだけ(苦笑)

『バビロン』では、黒いお衣装で舞台に現れたときの強い眼差しと力強くドラマチックな歌声が印象的でした。白くてキラキラのついたお衣装で銀橋に現れたとき、タータンとはちょっと違うけど、とってもキレイな人だって思ったことも覚えています.........『ガラスの風景』のミラー警部と同じ人っていうのを認識するのにも、あまり時間がかからなかった(笑)

あの頃。退団したトップさんの次にトップになるのは、そのときの組二番手であるはずだと思っていました。考えてみれば、タータンも雪組から専科を経て星組のトップさんになったのだから、必ずしもそうではないことは少し考えればわかることなのだけれど。なんとなく次のトップは組二番手のトウコさんなのだろうな、と漠然と思っていました。だから、そうではないことを知って、ちょっと驚いたのでした。

驚き、というか、軽い違和感.........どうして?タータンが肩に手を置いたのに。それはそういう意味じゃなかったの?

やがて、トウコさんに惹かれるようになったとき、軽い違和感は「なぜ?」という大きな疑問に変わっていました。なぜトウコさんではなかったのかしら? こんなに力のある人なのに.....???

でも、わたるさん(湖月わたる)はステキなトップさんだったので。そして、わたるさんとともにトウコさんの作る舞台がとても好きだったので。そんな思いはいつの間にかどこかに消えていましたが........


『バビロン』フィナーレ。ラベンダー色の羽を背負って大階段の真中にたつタータンの姿..........今日、一人の新しいトップスターがこの同じ場所に立った。それは、ほかでもないトウコさんなのだ........

何かがすとん、と私の胸の中に落ちて収まった気がしました。そして、心の中にじわじわと、言いようのない気持ちが広がり、満たされていくのを感じました。と同時に、これまでと違う涙がこみ上げるのを感じました。

タータンの姿を見ながら、大きな羽を背負って大階段を下りるトウコさんに思いを馳せた。はるか遠くに思いを馳せるような気持ち。再び、ふっと気が遠くなるような心地。

言葉にならない幸せな気持ち。この気持ちを喜びと呼ぶのかな.......そう思いながら、画面を見つめていました。

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