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幕が下りるのが悲しかった...@月組『A-"R"ex』青年館My楽

月組『A-Rex』2度めは、1月12日夜の部。お友達がネットで手にいれてくれたチケットで、きりやん(霧矢大夢)大好きの母を伴っての観劇です。

薄暗く冷たい雨の降る土曜の午後。母を伴い外苑前から日本青年館へ。到着するとすでに、女子トイレには長い長い行列が。やはり青年館で観劇の際は、事前にどこかで用はすませてきたほうがいい、と、実感.......なんて下世話な話題で始めてしまいました。失礼いたしました(苦笑)

この作品は、やはり2度めのほうが面白い。最初にアレックス@あさこちゃん(瀬奈じゅん)が登場したときに、ストン、と胸に落ちるものがありました。あ~そうだったのか.....と。

謎解きではないけれど。伏線というのとも違うかもしれないけれど。最初の場面に仕組まれた作家の意図のようなものを、感じました。お芝居を見終わった後にこの場面を思い出して、あ~そうだったのか.....と思うことが望ましいのだと思うのだけど、お芝居の中で語られる言葉があまりに多く、語られる世界があまりにも深遠で盛りだくさんなので。観終わったときには、最初の場面のことはすっかり忘れていたのでした。

この物語の中にあふれるたくさんの言葉は、さまざまな喩えを含んでいて、韻を踏んでいて。芝居のセリフというよりも、おのおのが詩を朗読して......歌って?.....いるように思えました。でも私には、そんな言葉の洪水が心地よくて。2度めだから、初見のときのように「何を言ってるの?」と、戸惑ったり迷ったりすることもなくて。本当に気持ちよく舞台を観、言葉を聞いていました。

セリフの言葉が歌うように響くので、歌が混じっても、あんまり違和感がなくて。それと同じように、派手なダンス・パフォーマンスも少ないけれど、その代わりに踊るような身のこなしが、自然にダンスに変化しているような。そんな、舞台の上の人の動きを見ているのも心地よいと思いました.............あまりに心地よくて、このときもまた、第1幕は睡魔という敵に敵わず。なんか大事なときに眠っていたのではないか?という不安が拭い去れないのですが.....(苦笑)

やっぱり、このお芝居は、このメンバーでなければ作りえなかったものなんだな....一人ひとりがとてもたくさんの詞を淀みなく語り、歌い、それぞれ独自の世界を作り上げている。その、独自の世界をもつ人物どうしが、せめぎあい、ぶつかりあうような緊張感ある関係を保っている。でもそれは、観客に強いるものではなくって。観客は何か一つの大きな流れのようなものの中に包み込まれ、流されていくような感じ........その流れにうまく乗れなかった人には、濁流の中に取り残された中州に立ち尽くすような、呆然とした感じ、不安な感覚が残るかもしれないけど。

それでも、アレックス@あさこちゃんや、ニケ@かなみちゃん(彩乃かなみ)、ディオ@きりやんはじめ、それぞれが魅力的なキャラクターなので。ファンにとってはそれだけでも十分楽しめたりするんじゃないかな......ちなみに私の母は年配なので、話の流れにまったくついていけなかったらしく。ディオが登場したときだけはシッカリとオペラグラスを握り締めていたけれど、他の多くの場面は、心地よい眠りに落ちていた.....いや第一幕の私も、母のことばかりはいえない状態でしたが(苦笑)

物語は、前回思った以上に神々と人間アレックスの対峙が描かれたものでした。アレックスの周りは神の意のままに運んでいるようだけれど、アレックスの思いもあれば、周囲の人々の人間ならではの心の動きもある......その中で、アレックスには明確な意思が見えない。ただただ、運命に従うだけのように見える。神々の筋書きと人々の思いの中で戸惑っているように見える。

あさこちゃんは「運命に翻弄される」とか「果てしなく苦悩する」とか、そういう状況がとても似あう人だな....と、ずっと以前から思っていましたが。まさに本領発揮という感じ。苦悩する姿がせつなくて、美しい。でも、だからといって弱々しいのとも違う。作・演出のオギー(荻田浩一先生)は、プログラムに「彼女本来の魅力である繊細さと心細い切なさを、くっきりとした輪郭で逞しく描き出すことに長けた人」と表現していますが。あさこちゃんの存在によって、イマジネーションされた部分も少なくなかったのだろうな.......アレックスが苦悩していると、つい「もっともっと!」と思ってしまう自分がいたりします(苦笑) 。アレックスの痛みを伴う美しさ、切なさは、すごくありふれた表現だけれど「若さの煌き」にも通ずる気がして。そういう点で、アレックスの痛みは、時代や国を超えて。現代の私たちにも通ずるものであると、納得させられる気がする。

ポスターにもなった不思議な迷彩のお衣装は、よく似あってた。私はこのお衣装と、最初と最後の茶色のコートがいちばん好きだったかな.....て、いずれもいちばん宝塚のトップさんらしからぬお衣装ですね(苦笑)

戦場の女神ニケ。戦場を軽やかに飛び回り、タンバリンを手に歌い踊るニケの姿は、ほんとうに魅力的。人々を誘い、鼓舞し、打ちのめす。気まぐれな小悪魔。勝者に喜びを、敗者に悲しみをもたらす。そんなニケは、かなみちゃんにぴったりだと思いました。かなみちゃんならでは。かなみちゃんにしかできない役だと思いました。

あさこちゃんとかなみちゃんは、異なる位相の光を持ったスターさんだと、以前から思っていました。同じ光を持ち、同じように力強さと危うさを併せ持っているけれども。輝きが違う。輝く場所が違う。だから、離れたところで惹きつけ合う二人、知らずに思いあう二人、というお話がとても似合うと思っていました。そんな二人の関係の中で放たれる、危うく切ない光に、魅力を感じます。私は。

だからこの、アレックスとニケお話は、私はとても素敵だな...と思いました。アレックスが最後にニケに出会ったとき「ナイショよ」と人差し指を立てるかなみちゃんは、とても愛らしくて魅力的。かなみちゃんのこんな様子が、私はとても好きだし、そんなかなみちゃんの傍らに佇むのは、やっぱりあさこちゃんがいちばん似合うと思う。

ともかく、アレックスはアテネ@タキさん(出雲綾)の筋書きどおりに、ペルシャの果てに行き着く。神の筋書きはそこで終る。でも、アレックスは止まらない。

アレックスの問いかけに、ディオが答える。「神々の計画の向こうには運命が待ち受けている」......またも意訳で申し訳ないのですが(苦笑)。 でも、名言だわ。

アテネは言う。結局神などいないのだと。神は人間の思いが作り出したもの。アレックスの王国は歴史の中の徒花になったと。けれど果たしてそうだったのだろうか......

アレックスとニケ...あさこちゃんとかなみちゃんが手を取り合って光の中に歩み始める。幸福と切なさの入り混じった不思議な気持ちに包まれたとき、静かに幕が下りた......その瞬間、不意に涙が出そうになった。

このお芝居が終ってしまうことが悲しかった。心地よい夢の途中で目覚めてしまったような気持ち.....幕が下りることが、ただただ悲しかった......

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