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それぞれに歴史がある......

『A-“R”ex』で、2人の生徒さんが歌劇団を卒業されました。

1人はいわずと知れた専科のシビさん(矢代鴻)。もう1人は、月組のはるちゃん(麻華りんか)です。

私が舞台の上のはるちゃんを初めて観たのは、リカさん(紫吹淳)がトップだったころの『宝塚花の風土記』で、赤いお着物....ピンクだったかしら?はっきりと覚えていないけれど、桜の枝を振りながら舞台に現れた3人の女の子の中の1人だったのですね......愛らしい姿でした。初舞台生?って思ったけれど、研2のはるちゃんと羽咲まなちゃんだったのですね。

声がきれいで歌が上手な人っていう印象はこの頃からのものかと思っていたけど。じつはその後の『愛しき人よ』の、歌姫の印象からだったのかもしれないですね........タカラヅカニュースのインタビューの中で流れた映像を見て、そう思いました。

でもともかく、歌の上手な人っていうイメージを、ずっと持っていました。実際、インタビューの中でも「たぶん誰よりも陰コーラスをしている」という話をされていました。安心して歌のパートを任せられる人だったのですね。きっと。

病気でしばらく休演されたことは知っていましたが。復帰が危ぶまれるほど、大きな病気をされていたとは知りませんでした。だから、インタビューで病気の話が出たときには、ほんとうに驚きました。でも、そんな大きな病気を経験していたなんて、微塵も感じさせないほど、明るい笑顔で語る姿に、ほんとうに強い人だな、と、尊敬に近い気持を持ちました。大きな病気を乗り越えて、宝塚の舞台に戻ってきてもらえて、ほんとうによかった。再び舞台に立てたときは、どんなにかうれしかったことでしょうね......

インタビューを見て、自分の中に自信を持てるものを持てるのは、素晴らしいことだなって思いました。はるちゃんの場合はそれが「歌」だったのですね。しかもそれは、プログラムには必ずしも書かれているとは限らない「陰コーラス」。いわば縁の下の力持ちのような立場だったりもするけれど、それに対して誇りを持てることは、素晴らしいなって思いました。自分に誇りを持てる「何か」があるから、がんばれたのかな.....

今回『A-“R”ex』で、クレオパトラという、ある一瞬の出来事を語るために歴史上に現れた、悲劇の花嫁を演じる姿を見て。こんなにも、はかなくて切なくて、けど深みのある歌を。涙の池が砂漠の中に蜃気楼のように浮かんでは消えるような。そんな歌声が、とても心に残りました。たぶん、はるちゃんがこれまでに経験した絶望と喜びが、その思いが大きく深かった分だけ、はるちゃんの心の中にさまざまな感情の襞を折り上げていて。それが歌になって現れ出ていたのでしょうね......

こんなに味わいのある歌が歌えるはるちゃんは、もっともっと「聞かせる歌」が歌える人になるかもしれなのに。こんなに早く卒業されるなんて、惜しいことだと思っていました。でも、はるちゃんがこれまで頑張ってこられたであろうことを思うと、もう、おつかれさまって言ってあげないといけなのかな.....と思いました。残念だけれど。

生徒さんにはそれぞれ、宝塚の生徒さんとして生きた歴史があるのですね。宝塚歌劇を観ることは、そんな生徒さんの歴史を見守ることでもあるのかな.......そしてそれは、自分が生きてきた足どりに重なっているのだな........と。印象に残る生徒さんの卒業に接するたびに、思ったりします。

はるちゃんのこれからの人生が、明るい笑顔に包まれた幸せなものであることを、心からお祈りします。

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