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あの日につながる切ない想い@ACHE ~疼き~(前半)

正直なところ。

わたさん(湖月わたる)は大好きなスターさんの一人には違いないけれど、じゃあファンなのかといえば、さほどではない。身も蓋もない言い方で申し訳ないのだけれど。
でも、大好きな星組のトップさんだった方だし。トップ就任から卒業まで、さまざまな葛藤と憧れと、こもごもの思いをもって見つめ続けたスターさんだし。生年月日の「年」の10の位が違うだけで誕生日も血液型も同じだから、格別の思い入れのあるジェンヌさんであることは確か。
けど、芸能生活=宝塚歌劇初舞台以来20周年の記念のコンサートに行きたいかと問われれば「別に....」と思う。そんな程度の思い入れいしか持ち合わせていなかったので『ACHE―疼き―』がお友達たちの間で話題になっていても、私の予定に組み込まれることはなかったのでした。ほんとに申し訳ないのだけれど。

ところが。
初日の幕が開いて、観劇したお友達たちの話を聞くに、どうも普通の「記念コンサート」とは様子が違う.......というので興味を持ち。幸いチケットを譲ってくださる方もあり、急遽観劇を決めた次第なのでした。

7月11日。金曜日の夜の部。まだまだ空は明るくて、熱気と湿気を含んだ空気が重い。そんな中、銀座から京橋を渡ってル テアトル銀座へと急ぎました。

どこかのお家のリビングのような、大きな吹き抜けのあるロビーのそこここに、宝塚時代からのファンって雰囲気の女性グループが固まっていました。客席は、前段の平場のお席はほぼ100%埋まっていました。私のお席は後ろから数えたほうが早い、高い場所です。舞台から遠い代わり、舞台と客席を同時に俯瞰できて、意外と面白いんじゃないかな。

古いお城の中みたい......っていう感じで伝わるかしら?○○調って言葉がすぐに浮かぶといいのだけれど.......ともかくそんなような、ちょっと幻想的にも見える舞台。薄明るいライトの中に、白いお衣装のゆりちゃん(星奈優里)がひらひらと現れ、次いでさえちゃん(彩輝直)が現れて、ときに対照的に、絡み合い縺れあいながら踊る。白い影。白い蝶........この二人のダンスは、後から思うときちんと意味があった。けどこのときは、そんなこと知る由もないので、ただただ幻想的な綺麗なプロローグだな.....と思って見ていました。
やがて、男性ダンサーが現れ、舞台の中央にわたさんが現れました。

『キャリオカ』。
懐かしいキャリオカ。日比谷公会堂でわたさんを見送った。あの、サヨナラの日の一コマが思い出されます。
けど、あの頃のように煌き輝きながらこぼれ落ち流れ落ちる、数えきれないほどの光の粒は、ここにない。わたさんは同じようにスパンやストーンで彩られた燕尾(タキシード?)を身につけているけれど、でも何かが違う。懐かしく思う反面、あの頃がすごく遠くにいってしまったような、その事実を初めて自覚したような、さびしい気持ちになる......
わたさんのダンスは昔と同じ......むしろ昔よりもキレが増しているかもしれない。かっこいい。けど、ここにいるのは、あの頃の男役・湖月わたるとは別の存在なんだ........ふとしたはずみに「女」の気配が匂い立ち、はじけ散る。わたさんの胸から。腹から。腰から。
そのことに戸惑うとともに、突き放されたような思いに襲われる。そこに2年の月日が厳然と横たわっているのを感じる.........けど、そんな気持ちも、わたさんを見ているうちに、だんだんと薄らいで。過去と現在が混然としてくる........

『キッチュ』。
自分自身を皮肉っぽく突きはなすように語りながら、客席に下り、写真を配る.......わたさんは客あしらいのうまい人だと思う。通路の脇の観客に語りかけながら、客席全体を虜にしていく。観客は、わたさんの深い深い懐の奥深くに取り込まれていく。
昔、わたさんが生まれたばかりのトップスターだった頃、神奈川県民ホールでわたさんが客席に下りるのを初めて見たけれど。あの日と同じように少し離れた場所からわたさんを見つめながら。あのときと同じように、わたさんに魅了されている.........こうして少しずつ「思い出」と「現在」の距離が縮められていく。

『月夜歌聲』。日替わりナンバーは『Remenber』。
初日は『月の満ちる頃』だったそうですね。でも、『Remenber』も、せつない。ふと気づくと涙が出ていた。
あの頃、わたさんのいる舞台にはいつも、薄く霞のように切なさが漂っていたけど。それは、わたさんの持つ、この雰囲気から生まれたものだったのかもしれない。甘くて切なくて。かすかに痛みを感じる記憶だわ......

手を伸ばせばいつだって近くに届いたから
かけがえのない奇跡と分からずに過ごしたけれど

当然のようにそこにあったあの日々は、やっぱり「奇跡」だったのかしら.....

舞台の上に設えられたバルコニーの上に、テーブルと椅子。いつのまにか黒いドレスのゆりちゃんがいました。わたさんに投げかけられた冷たくて褪めた眼差しに、胸騒ぎを覚える。
中央の階段では、さえちゃんが、やはり黒いドレスで佇み、何か値踏みをするような目で、わたさんを見つめていました。

抽象画の世界が始まろうとしていました.........


続く。

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