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幸せな思いはとりとめもなく.....@星組『さくら』東宝初日

東京宝塚劇場。星組東京公演初日。

お天気に恵まれた明るい午後。開演前の劇場周辺には、たくさんの人、人、人......スポニチ・アネックスの見出しではないですが(笑) ファンクラブのチケ出しの長い列。待ち合わせをする人々。開演前に食事をしたり、キャトルレーヴを覘く人も少なくないのでしょう。日比谷シャンテと劇場の間の道路を横切る人も数知れず。劇場係員のお兄さんのメガホンの声がひっきりなしに響いています。

劇場ロビーも、大勢の人でごった返していました。柱の脇には、この公演の大判のポスターを貼ったスタンドが置かれ、その両脇に小林公一歌劇団理事長父子が立ち、さらにその隣に劇場支配人の小川甲子さんが立ってお客様を出迎えていました。この華やいで賑やかな空気は、初日ならではのものですね。今日は新しいトップさんの東宝お披露目の日だから、なおさらですね。

初日を一緒に観劇することになったオネエサマのご贔屓はとどさま(轟悠)なので、オネエサマはトウコさん(安蘭けい)がまだ下級生の頃から良く知っているらしく。「今日は私、安蘭さんのお披露目と思うと、ほんとうにうれしいのよ」と。オネエサマのとどさまご贔屓仲間のオバサマに出会うと「ほんとうによかったよね~」と口々に言い合っています。そういう古くからのファンも少なくないのかな......意外とご年配の姿も多く見かけられました。

人でぎっしり埋まったエスカレーターを最上階まで上り、「すみれの花咲く頃」のチャイムに送られて2階中段のサブセンター席に収まりました。いつも見慣れた東京宝塚劇場の赤い緞帳を見下ろすと、また新たな感激がこみ上げてきました。ムラで観劇したときとはまた違う感激。

そう。いつもここで宝塚歌劇を観劇している私たちにとっては、ここで開演を待つ気持ちはやっぱり格別なのですね。いわば「わたしたちの場所」にトップさんをお迎えする気持ちかな.......


やがて客電が落ち、客席のざわつきも次第におさまり。焦らすかのような静かな、長いようで短い時間の後。

「皆様ようこそ東京宝塚劇場におこしくださいました。星組の安蘭けいです」

アナウンスの声に、大きな拍手が沸き起こりました......あぁ。思わず目を閉じて、大きく息を吸い込みました。このアナウンスを聞く日を待っていた.....いまこの客席を埋め尽くす、そのほとんどの観客たちがそうであるのと同じように.......目頭がジンワリ熱くなりました。

前奏の音に再び目を開け。拍子木の音が響いた次の瞬間。新しいトップさんのお披露目公演の幕開けにふさわしい、華やかで煌びやかな舞台が現れました。客席からは大きな拍手と、歓声ともタメイキともつかない声が上がりました。

5月も半ばを過ぎたのに「さくら」だなんていかがなものかしら.....なんて思っていたけれど。色とりどりの花を撒き散らしたような舞台を見つめていると、時が一月半ほど後戻りして、今が春の盛りのような気がします。

その春の盛りの舞台の中央に、扇をかざしたトウコさん(安蘭けい)がセリ上がりました。再び、そしてひときわ大きく沸き起こる拍手。この場所でこんなに大きな拍手を聞いたのは初めてではないかしら.......もしかしたら初めてじゃないのかもしれないけど(苦笑)。でも、今までこの劇場で聞いた中で、いちばん大きな拍手のような気がしました。

トウコさんは、すごくゆったりと満ち足りた笑みをたたえ。すっかり落ちついて貫禄のトップさんといった風情です.......トウコさんご自身の内心はどうかわからないけれど、私はそのように見受けられました。ムラでひと月余りの公演を終えたということは、やっぱりそれだけの何かを身に纏ったのだということなのですね....

あすかちゃん(遠野あすか)とちえちゃん(柚希礼音)も、ムラで見たときよりも、やわらかさを増した気がしました。というか、舞台全体がやわらかい雰囲気になった印象がありました。春の穏やかな日差しに照らしだされたような、幸せな空気が舞台に漂っていました。

その幸せな空気の中を、華やかに笑みを浮かべながら銀橋に歩み出るトウコさんはとても美しくて、感動。感激。また少し涙がこぼれそうになりました。


総踊りの後、舞台は一転。ミエコ先生(松本悠里)が現れました。女性コーラス.......当り前か(苦笑).......をバックに。夕焼け色の照明の中、博多人形のようです。ミエコ先生を見るといつも、そう思います。女らしいなぁ......なんていうのかな。ひとつの文化みたいなものがミエコ先生の中に息づいていると、そんな気がします。

ミエコ先生と入れ替わりに上手にセリあがるトウコさんは、静かで美しい。すべるように踊り始めるトウコさんは、深夜の月の光のような、冷たい光を放つように思われます。ミエコ先生の場面が女性の、というか人間の「情念」のようなものを表現しているのだとしたら、このトウコさんには、それを超越した何か、を感じます。美しい。思わず見入ってしまう.......そういえばこのショーには「妖しいまでに美しいおまえ」というサブタイトルがついていたのですね。そのことをふと、思い出しました。


再び桜の若衆、桜の女たちが登場し、トウコさんとあすかちゃんは黒いお着物から華やかなお衣装に早変わり。と同時に、トウコさんの表情もまた穏やかな明るい笑みに変わっていました。トウコさんを見上げるあすかちゃんの幸せそうな笑みも印象的です。あすかちゃんだけじゃない。トウコさんを囲む、組子さんたち皆が、幸せそうな笑みをたたえています。そんな、真中に立つトウコさん.........幸せだ......


続いて現れた「お内裏さま」ちえちゃんは、大きくて、ゆったり構えていて、いい感じ。ちえちゃんを囲んで下手の花道に現れた水輝椋ちゃん、麻尋しゅんちゃんは、ともにいい声。聞き惚れてしまいます。女雛さま@あすかちゃんの「節句人形の涙は~」の歌は、昔のムード歌謡みたいだけど、いい雰囲気。あすかちゃんが地声で歌うっていうイメージが、これまで私にはあんまりなかったのだけれど、やっぱりうまいなって思いました。

ひな壇が現れた時、ムラでは大爆笑だったんだけど、今日はあんまりリアクションがなくて......よくいわれることだけど、やっぱりムラと東宝では違うんだな.....と実感。だから自分も、爆笑しないで「クスっ」と笑いました(苦笑)

五月人形に扮したトウコさんは、ほんとうにかわいいなぁ.....トウコさんを囲む人形たちも、地顔(?)がわからないほど白塗りにしてるけれど、すっごく楽しそう。「出番を待とう」と歌いながら、人形たちと顔を見合せてうなずくトウコさんが、私はとっても好きです。かわいい。お雛様たちに木箱に閉じ込められて「お内裏くん!」と不満げによびかけるところも、かわいい.......ここは、トウコさんならではの。主演がトウコさんだからこそ、の、楽しい場面だな.......って思います。先の「妖しいまで」のトウコさんも、このかわいらしトウコさんも、どちらもトウコさんらしいなって思う。

しかも、この場面、トウコさんとあすかちゃんの歌がいいな。いわば聴かせどころなのかな.........歌の上手なトップコンビっていいなってつくづく思う。


灯篭を頭に載せた女たちの行列が現れて消えて。冷たく白い光の中に烏帽子・水干(狩衣?)姿のトウコさんが現れる。その様が鏡に映って、果てしなく空間が広がる。果てしない空間の中に一人公達が佇んでいる。とてもとても美しくて幻想的な「竹灯篭」の場面。この美しい舞台は宝塚歌劇ならではなんじゃないかな、と思う.........がっ!黒装束の大道具さんがセットの陰にしゃがみこんでいる姿が舞台の奥の鏡に....これも初日ならではの風景なのかなぁ.....(苦笑)

このトウコさんはとってもきれい。端正な美しさで、私はとても好きです。平家の落ち武者のイメージなのだそうですが。トウコさんはこの烏帽子・水干がとっても似合うと思う。それに、トウコさんに寄り添う白拍子@ミエコ先生が、どこからどう見ても少女のように可憐で。思わず目を見張りました。これはきっと日頃の精進の賜物なのね。芸の力ってすばらしい......


続く「花折」は、狂言をオペレッタ風にアレンジしたもの、らしいけれど。山法師のすずみん(涼紫央)も、檀那のしぃさま(立樹遥)も、それぞれの明るい持ち味が役とよく合っていて。楽しい。しぃさまが扇で仰ぎながら高らかに笑うところ。すずみんが酔ってふにゃ~って感じで笑うところ。それぞれに個性がよく現れていると思う。花見の男女もほんとに楽しげで。お披露目の春の作品によく似合っているんじゃないかな.....興を添えているんじゃないかな.....


一瞬の静寂の後。舞台に現れた大きな桜の幹の陰から。はらはらと落ちる桜色の花びら。その花びらを落とす指先が美しく撓る。大劇場で初見のときは気づかずにいて、見落としてしまったこの場面。今日は初めからしっかりとオペラグラスを構えて見つめていました.......美しい。他の表現が見つからないほど、美しい。そして切ない。指先はどんなときでも饒舌なものだというけれど。いま見つめているこの指先は、寡黙。だけどとても言葉で表しきれない、多くの何かを表現している気がする。その何かを受けとめようと、思わず息を潜めてしまう。

桜の陰から現れたトウコさんは、まさに桜の精。儚い。やがて優しく華やかにあらわれるあすかちゃんも、桜の精。舞ううちに一人、また一人、桜の精が現れては消える。それぞれにはらはらと花びらを落とす。はらはらと落ちるはずの花びらが、ところどころでポテっと固まって落ちたりするのは、大劇場の千秋楽から少し間が開いたから。まだ感覚が戻ってこないのかしら......??

枝垂れの桜が満開の花のように舞台の上から下がり、その桜の枝垂れの向こうに現れるトウコさんが、遥か遠くに見えて、切ない気持ちになった。舞台が八百屋になっているためか、ますます遠くに見える気がする。遠くの山を見遣ったときに、そこに小さな桜の影を見たような、そんな感じ。

トウコさんとあすかちゃんがくるくると舞台の上で回り、連れ添って袖に消える。二人の間にやわらかな光が見える。トウコさんによりそう、幸せそうなあすかちゃんが好きだ。そんなあすかちゃんを見れるのがうれしい、と、思う。

舞台手前でやさしくやわらかにまわる、しぃさまとすずみん。枝垂れの向こうに一人、霞のように現れた、しみこちゃん(和涼華)も、とても姿が美しくて印象的でした。

幾度めかに舞台に現れたトウコさんが、男役さんたちを引き連れて上手から下手に流れていく。その姿を見たとき、思いがけず涙が溢れてきた。なぜだろう.......

そう、私はやっぱり、皆の真ん中で、皆に囲まれて立つトウコさんが好きなのだ。トウコさんは、この東京宝塚劇場の大きな舞台の空間をたった一人で埋めることができるほど。それぐらい豊かな才能と強いオーラを持つ人だ、と思っている。けれど、組子さん、カンパニーに囲まれているときにこの人が醸し出す何かが好きなのだ。いま、この人はこのカンパニーの真ん中にいる。そのことを、この瞬間に実感したのかもしれない.......思いがけず訪れた大きな感動に、自分でもちょっとうろたえてしまいました(苦笑)

最後の総踊り。両手に差し上げた扇から桜の花びらがいっせいに舞い上がるのが、とてもきれい。トウコさんを囲む皆が、幸せそうな笑みを浮かべている..........大勢の中にいても、ミエコ先生の扇使いの巧みさ、身のこなしの美しさは当然ながら際立っていて、目をひきつけられてしまいますが...........その真ん中でトウコさんが、ひときわ幸せそうな、満足げな笑みを湛えている.....

それを見つめる私の胸にも、なんとも言いようのない幸せな思いが満ちてくるのを感じて。緞帳にさえぎられて次第に小さくまる幸せな光を見つめながら。思わず深く息を吸い込んだのでした。

幻を見ていたのだろうか?

宙組東京公演の千秋楽は2月12日。バレンタインの2日前のことでした。星組の前のトップスター、わたるさん(湖月わたる)さんの退団発表があったのが昨年の2月13日でしたから。宝塚ファンは2年続けて寂しいバレンタイン・デーを過ごすことになったのですね.......クリスマスに大劇場を後にしたスターさんは、概ね、東京ではバレンタインの頃にサヨナラになる流れなのでしょうか?タータン(香寿たつき)のときはどうだったっけ?リカさん(紫吹淳)のときはどうだったっけ?

宙組の千秋楽は2月の連休の最後の日で、千秋楽の様子はその週が終わるまでタカラヅカニュースで放映されていて。ずっと気になっていたけれど、反面、気が進まないというのもあって、週末になってようやく、タカラヅカニュース総集編で千秋楽のダイジェスト映像を見たのでした。

気が進まなかったのはなぜだろう.......かしちゃん(貴城けい)のサヨナラをなかったことにしたいという気持ちが、潜在意識の奥底のどこかにあったからなのかな........

かしちゃんのサヨナラの姿を見たら自分の心が動揺するのがわかっていたから.......コムちゃんのサヨナラ公演でもあんなに動揺したのだから........それを恐れていたのかもしれない。

宝塚歌劇の1つの公演を複数回観劇したのは、雪組『春麗の淡き光に』が初めてでした。今でこそ1つの公演を最低2回は観ると言っている私ですが........(苦笑)。芝居の幕開きの華やかさと、ショー『Joyful!!』の楽しさに魅かれて、何度も東京宝塚劇場に足を運びました。
千秋楽の公演を生で観劇したのも『春麗~』が初めてのことでした.......初めてであり、唯一、でもあるけど(笑)。

「出待ち」を経験したのも『春麗~』の千秋楽の日が初めてでした。私の記憶の中では、よく晴れて気持ちのよい初夏の午後(夕方?)でした。
ファンの列の前を歩いてくるかしちゃんは、颯爽としていて爽やかで、華やかでステキだった。帝国ホテル側の横断歩道を渡る間際に振り向いた、笑顔の輝き。きらめき。ファンに向かって片手を高く上げた姿を、今もはっきり覚えている。

『春麗~』....正しくは『Joyful!!』はとても好きだったので、全国ツアーを追いかけて、浜松にも行きました。
観劇前に食事をとろうと思って、浜松の街をあるいていたときに、かしちゃんに出会った。ムラや日比谷以外の街中でジェンヌさんに出会ったのも、このときのかしちゃんが初めてでした。この日もいいお天気で.......でも、もしかしたらそうではなかったのかもしれない。私の記憶の中ではいいお天気でした.......かしちゃんは「スターのオーラ」に包まれて見えました。一緒にいた浜松在住の友人が「この辺じゃ絶対に見かけん人たちだよ」って大騒ぎしてたっけ。

今年のお正月に初めて『竜馬伝!』を観たときはさほど感じなかったのですね。けれど、次に2月に入って観劇したときは、ショーの初めの方で赤いマントのようなお衣装を着て現れたかしちゃんの横顔に、思わず涙ぐんでしまいました。
my楽の夜は、フィナーレを見ながら、あの千秋楽の日のかしちゃんの姿が心の中に蘇って、涙がこぼれました。後から後から涙があふれて自分の頬を流れ落ちているのがわかっているのだけれど、それでもオペラグラスをはずせませんでした。かしちゃんのどんな姿も見逃したくないと思ったのでした。

私にとって、かしちゃんは、いろんな意味でご縁があって.......勝手にご縁を感じているだけですが(笑)、思い入れの深い生徒さんの一人でした。だから、かしちゃんのサヨナラを見るのがつらかった......


千秋楽からほぼ1週間が過ぎた週末のタカラヅカニュースで、ようやくダイジェスト映像を見ました。

テレビ画面の中のかしちゃんは、何もかもに満足げな、幸福そうな笑顔だと思いました。何かを成し遂げた人の笑顔。なに一つ悔いることのない、そんな人の笑顔だと思いました。
宙組のトップでいたのは8ヶ月間だったと、かしちゃんが語っていました。短い時間だったし、いろいろと葛藤も少なくなかったと思います。けど、もう吹っ切れているのかな。一つ大きな何かを乗り越えることができたのかな......そんな風に思いました。そしてまた、あの日の笑顔を思い出しました。あの日と同じあの笑顔だと思って。少しまぶしかった。

ムラでのサヨナラショーのとき、サヨナラショーは思い出の再確認だから、共有する思い出のないサヨナラショーは観ていてもつらい、と、どこかに書いた覚えがあるけれど。この日の宙組のサヨナラショーはそうではなかった。
同じ作品で同じ舞台に立っていた「思い出」はなくても「思い」を共有することはできて、彼らはこの舞台の上で、心を通い合わせているのだというのがわかった。カンパニーは変化するものだし。舞台は、その変化する「思い」を如実に映し出すと思う。舞台って不思議だ。

銀橋の真中に立つ、かしちゃんの存在感の大きさ。

最後に、ともに退団する生徒さんたちを引き連れて緞前に現れたとき。「この光景を覚えておきましょう」と言った言葉は、かしちゃんの「思い」と人となりを何よりよくあらわしていたのではないかと思う。こんなかしちゃんが好きだし、こんなスターさんに出会えてよかったと思った。


千秋楽の映像を見てから、さらに1週間が過ぎたけれど、今も実感がわかない。その間に、次の月組公演を観劇したりもしたけれど。あんなにキレイで立派なスターさんが、もうここにいないということが、夢のように思えてきます。

そう思ううちに、次第に、かしちゃんがここにいたことのほうが夢だったのではないかと思えてくる気がしました。

私は美しい幻を見ていたのだろうか..........?

大切なものを忘れていた.....@星組『ヘイズ・コード』青年館千秋楽

日本青年館での星組公演『ヘイズ・コード』で始まった2007年も、早くもひと月が終ってしまいました。今年も各組の公演を追いかけて、あっという間に1年が過ぎるのかしら....???

その、日本青年館の千秋楽の模様がスカイステージ『タカラヅカニュース総集編』で放映されたのは、この前の、その前の週末。もう10日も経ってしまいました(苦笑)

『ヘイズ・コード』は、星組の新しいトップ・スター、トウコさん(安蘭けい)と、お相手の遠野あすかちゃんだけでなく、ユズミさん(万里柚美)、まゆみさん(にしき愛)といった上級生、しいちゃん(立樹遥)、すずみん(涼紫央)、ことこと(琴まりえ)、みなみちゃん(南海まり)といった中堅スターから、紅ゆずるクン、美弥るりかちゃんといった若手さんや、もっと下級生に至るまで、それに専科のHIROさん(一樹千尋さん)、ソルーナさん(磯野千尋)、すべての出演者に、それぞれの持ち味を生かした見せ場のある、ステキな公演でした。それは、出演者の人数が少ないから、というだけではなく、やはり隅々まで心をこめて作られた舞台だったからではないかと思います。

その、一人ひとりの出演者に対する演出家・大野先生の思いは、公演プログラムに寄せた言葉や、すべての出演者について名前とともにプロフィールが紹介されていたことに現れていると思いました。それを最初に発見したとき、私はそれをとてもうれしく思いました。下級生さんのファンの方々は、もっとうれしかったんじゃないかな。それに、きっと生徒さんたちもうれしかったと思う。

誰もほんとに不幸にならないっていうストーリー.....「ゆるい」っていう批判も一部で聞こえましたが。私はそうは思いません......それに、一人ひとりの出演者がとても熱心に、楽しく、この作品に取り組んでいる様子が見えて、この『ヘイズ・コード』はとてもステキな舞台だったと思います。年の初めに、こんなステキな舞台を届けてくれた、大野先生と星組さんに感謝です。

そして、『タカラヅカニュース総集編』で放映された、千秋楽のダイジェスト映像も、その舞台の雰囲気を最大限伝えるべく.....なのか、いろいろな出演者のいろいろな場面が見れて、とてもうれしかった。あいにく千秋楽の舞台を観劇できなかった私にもその楽しさは、客席の大盛り上がりの様子とともに、しっかり伝わってきました。スカイステージさんありがとう、です♪

トップスターのプレお披露目公演でもあったこの公演で、大きなアクシデントに見舞われてしまった主演・トウコさんのご挨拶は、この公演を振り返っての思いを、自分の言葉でしっかりと語っていて、とても感動しました。この言葉を劇場で、直接自分の耳で聞くことのできた皆さんが、ほんとうにうらやましい......私のお友達の多くは実際聞いていたし、私もそのチャンスがなかったわけではなかったんですけどね。残念です(苦笑)

あまりよろしいことではない気もするのですが、スカイステージでも放映されたことだし。とても感動したので、ご挨拶を掲載してしまいます。

本日は『ヘイズ・コード』千秋楽におこしくださり、本当にありがとうございました。

この公演は、私(わたくし)にとって、いろいろな思い。いろいろな発見をした公演でした。
その中でひとつ、とても大切なことを、あらためて実感したことがあります。
それは、舞台というものはけして一人では作れない。みんなで作り上げていくものだということです。
これは本当に当たり前のことなのですけれども、私はそれを少し、忘れていたような気がします。

でもそれを、私の後ろにいる出演者のみんな、そして、今、姿が見えないんですけれも、舞台を支えてくださったスタッフのみんな、そして何より、この作品を愛して劇場に足を運んでくださったお客様のおかげと、そしてお客様の、が、私に教えてくださったことです。

でもこれは、舞台上だけじゃなくって、舞台を下りても、私は一人ではない、いろんな人と関わって、いろんな人に支えられて生きているんだなということを、本当にあらためて実感しました。
皆様本当に、ありがとうございました。(拍手)

ありがとうございます。新たな星組、新たな第一歩を、このような素晴らしい形で踏み出せたこと、本当にうれしく思っています。
これからも星組を、皆様どうぞ期待してください。(拍手)

本日は本当にありがとうございました。

以前もどこかで書いたような気がしますが、

「舞台というものはけして一人では作れない。みんなで作り上げていくものだ」

これは、舞台に限らずチームでする仕事全般にいえる「とても大切なこと」だと思います。何もかも自分ひとりで背負い込むものではなく、皆が自分の出せる力を発揮し合ってこそ、いい仕事ができるのだし。また、誰もが自分の力を十分に発揮できるように、任せるところは任せ、助け合えるところは助け合う。

トウコさんも、3年ほど前の『宝塚GRAPH』で

10年前と比べ今は、皆様によって自分は生かされているという感謝の気持ちが強くなってきたと思います。

と語っていたように、トウコさん自身、自分の力でなにもかも頑張る、という考えではなかったと思うのですね。もともと「皆で作るもの」という思いはしっかりと持っていたと思うのです。

けど、次期トップに内定して。おそらく前の本公演の頃からお仕事が増え始めていたのでしょう。この年末から年始にかけてはイベントも多く、お稽古もハードだったように見受けられます。お相手のあすかちゃんも、この公演で星組に組替えになり、『コパ』で一緒だったとはいえ、何かと勝手がわかりかねるところもあったことでしょう。
トップの重責に加えて、それやこれやのいろいろな条件が重なって。自分を見失いかけてしまったのかもしれないですね。
今、プレお披露目という早い時期に、トウコさんがこの大切なことを思い出し、自分自身のスタンスを確認できたことは、とてもよいことだったと思います。アクシデントはたいへんなことだったと思うけれど、結果的にはよかった。

昔。いつかトウコさんがトップ・スターになるときは、その大きな存在感で組をぐいぐいリードしていく、そういうタイプのトップさんになるのかな....って思ったことがありました。

でも、星組で。わたるさん(湖月わたる)の下で、わたるさんとともに舞台を作り上げていくトウコさんを見ているうちに、そうではないのかな、という気がし始めました。トウコさんは、舞台を作る仲間たちに囲まれて、その中で輝きを増していくタイプの人なのかな.....と思ったのです。

真ん中に立つトウコさんを皆が支えている、トウコさんを中心に皆が頑張っている.....もちろん、トウコさんの豊かな才能は、周囲のサポートがなくても一人で真ん中に立つのに十分すぎるものであるとは思いますが.....そんな形で、カンパニーの真ん中に存在するのが似合う人だと思いました。

それは宝塚歌劇のトップスターさんのあるべき姿のひとつなのではないかな、とも思います。

そんなトウコさんを中心に、あすかちゃんと星組のメンバーが皆の心を合わせて、よりステキな舞台をたくさん生み出してくれることを、心から期待しています。

出待ちだけでもシアワセ@星組『ヘイズ・コード』青年館千秋楽

千秋楽を観劇中のお友達が幕間に入れてくれたメールを見て、あわてて会社を飛び出しました。時間を勘違いしてたんです。

千秋楽の公演開始時刻は正午。観劇するためには会社を全休しなければならないのだけれど、この時期、そうは休んでばかりはいられません。家庭の事情で前日会社をお休みしているので、楽とはいえ、半日は会社に顔をださねば........というので。お友達からお誘いもあったのだけれど、千秋楽の観劇はあきらめて。でもせめて、出だけは行きたいと思ったのでした.........もう、ファンモード全開です(苦笑)

そんなこんなで日本青年館に到着したのは午後2時半の少し前。なんとか公演終了前に駆けつけることができました(苦笑)

けど、青年館周辺には人影少なく.....やっぱり出だけに来る人っていないのかな...って思いながら、楽屋口のほうに回ると、何人かの人が立っていました。
そのうちの一人は、メールをくれたのとはまた別のお友達で、ビックリ。てっきり劇場内にいるものかと思っていましたよ.....(笑)

そのお友達と、後からやってきた女性の方としゃべったりしながら公演が終るのを待っていたら、また別のお友達がやってきました。しかも「悔い改めよ」のビラを持って。

客席下りのときに生徒さんたちがビラを持って現れて、配っていたのをもらったのだそうfです。表にはトウコさん(安蘭けい)のサイン、裏には出演した生徒さん全員のサインが書かれていました。すご~い。すごいすごい。彼女、震えてました.....うん。その気持ち、わかる♪

やがて、メールをくれたお友達とかもやってきました。公演が終ったらしい。

で。

「ここが先頭ですか?」
「いや、スタッフさん、まだ来てないから」
「この方たちはギャラリーですよ」

とかって少しアタフタした後、気づくと一緒に待っていた方とともにガードの最前列にいました。きゃぁ~(爆)

そうこうするうちにも、次々に人がやってきて、楽屋口にはたいへんな人垣ができていきました。

お友達はどこにいるかな~?と振り向いたら、うしろの方に
「お茶会で同じテーブルでしたよね?」
って声をかけられました。
「トウコさんが目の前で歌ってくださったとき、泣いてらっしゃいましたよね」
あ。『愛短』のときだ!.......はい。感激のあまり、とっちらかって泣き出してしまったのは、ワタシでした....(汗;
そんなこんなでメール交換。ま。キッカケは何であれ、お友達が増えることはいいことだわ(笑)

ガードに入らないお友達たちは、後ろのほうのどこかで今日も『ヘイズ』を上演しているのでしょうか......?(笑)

やがてお手紙の回収があり。観劇してなかった人にはピンクのペンライトが配布されました。うれしい♪

Photo_3楽屋口は、普段閉じているシャッターが開いていて、いつもの2倍以上のスペースがあったのだけれど、そこがすべてファンに埋め尽くされていました。

ファンクラブのスタッフさんが赤い筒を2本もって現れました。?と思ってみてるうちに、するするすると。筒のように見えていた巻物が解かれ、ガードの列の前に赤じゅうたんが敷かれました。その様子に、どこからともなく歓声があがりました。ステキ♪

待っている間に、周辺のコたちから千秋楽の情報を集めました。
- ペンライトは、青年館に入場のときに、一人ひとりスタッフさんから手渡されたらしい
- 青年館の椅子は、背もたれとすわるところの間に隙間があるので、上演中ペンライトを落とす人が続出したらしい(笑)
- 1幕。テーブルの下から出てきたのはいのししのヌイグルミだったらしい
- ヘンリー@すずみん(涼紫央)登場のときの鼻歌は『愛あればこそ』だったらしい
- 2幕。リビィが忘れた白いバッグをレイさまが届けたときのデュエットで、この日もあすかちゃん(遠野あすか)が涙ぐんでいたらしい
- ご挨拶の後、カーテンコールでもう一度客席おりがあり、そのときに「悔い改めよ」のビラが配られたらしい
- 最後のカーテンコールは緞帳が上がらないで、とうこさんが袖から緞帳の前にでてきたらしい。
 ご挨拶の後、緞帳を持ち上げてくぐろうとするパフォーマンスがあったらしい

こんな感じ。

そうこうするうちに、生徒さんたちが次々に出はじめました。

- ソルーナさん(磯野千尋)は赤じゅうたんの上は通らないで、いつものように、公園に抜ける通路のほうに消えました
- 一樹千尋さんも、やさしい感じでステキでした♪
- にしき愛さんはいつも何かしらのリアクションをしてくれますが、このときも、赤じゅうたんに大げさに驚かれていたような気がします。いまいち記憶が定かではないけど
- 祐穂さとるサンは、手を顔の前でひらひらさせながら、ポーズをとりながら歩いていきました。
 後で聞いたところでは、少し後にほかの娘役さんたちとまとまって出た南海まりちゃんが、祐穂さとるサンと同じ指輪をひらひらと見せながら歩いていたそうです。みなみちゃんは、帽子をかぶってなくて、キレイだったらしい.....けど、このときはみなみちゃんじゃない娘役さんをみてたんですよね.....不覚!
- しいちゃん(立樹遥)は、赤じゅうたんと大勢の人垣をみて、目をまん丸に見開いて驚いてました(笑)
- あすかちゃんも、ニコニコ笑顔で......すごいかわいい。けど、どことなく大人(笑)
- すずみんは、いつものように大歓声に迎えられて、笑顔で歩いていきました。
- さらに大きな歓声に迎えられたのは.......エンディ(高央りお)!

エンディはまだ退団間もないから当然だけど、全然変わらない。照れ笑いしながら、赤じゅうたんの上を.......

.....って、エンディの動向に皆が注目している間に、楽屋口に歓声が上がり、トウコさんが現れていました。ギャラリーのカメラが、いっせいに向きを変える気配を感じました(笑)

大きな瞳。晴れやかな笑顔のトウコさんは赤じゅうたんの上を手を振りながら歩き、曲がり角のところで、皆が「おつかれさまでした」というのを、笑顔で聞いていました。
そして、赤じゅうたんを歩いて手を振りながら車に乗り込み。ガードに向かって手を振りながら走り去るトウコさんを、私たちはペンライトを振りながらお見送りしていました......

出待ちはとっても楽しくて。トウコさんはとってもかわいくて。 やっぱり来てみてよかった。とってもシアワセでした......

幸せなあとあじ@星組『ヘイズ・コード』DC初見

新生星組。新生トップ・コンビのプレお披露目。待ちに待ったトウコさん(安蘭けい)のトップ就任記念公演(?)。青年館まで待ちきれなくてシアタードラマシティに観劇に行ってきました。12/17(日)夜の部.....ホントは初日が見たかったんですが、どうしても仕事が.....ていうより、チケットが....(涙)

で。その『ヘイズ・コード』ですが.....

誰も不幸にならない......と思う(苦笑)......ちょっとオシャレで楽しいラブコメディでした。新たなトップコンビのスタートに、いい作品に恵まれたと思います。トウコさん(安蘭けい)とあすかちゃん(遠野あすか)の確かな実力と、二人が短い間にしっかりと信頼関係を築き上げていることが確信できて、感激しました。

大野センセイの脚本には、言葉を大切にしている姿勢を感じました。具体的にどこがどう、というのではないけれど「引っかかる部分」がなかった気がする。宝塚歌劇の先生方には珍しいと思うの(苦笑)。その姿勢はずっと大切してほしいなって思いました。

大野センセイのパンフレットのご挨拶も、なんだかいいなって思いました。愛が見えます(笑)

とにかくなんだかシアワセな思いの残る、後味のよい舞台でした。トウコさんとあすかちゃんの、明るく楽しく愛らしい魅力がたっぷり味わえる、この二人ならではの軽妙洒脱なコメディでした。

たぶんレイさまはトウコさんでなければならないし、リビイもあすかちゃんでなければならないし........宝塚歌劇の主役って、本来そういうものですが(苦笑)

主役二人だけじゃなくって、すべての生徒さんの「良さ」とか持ち味とかが、それぞれの生徒さんの未熟さ加減やコンディションの良し悪しも含めて、うまく引き出されていたと思います。キャラの設定もいいし、河底美由紀センセイのお衣装もいい.....私は、トウコさんが茶系のスーツを着てるのが好きで、だから茶系のスーツを着せてくれるだけでも河底センセイ高評価なんですけど(笑).......大野センセイは、一人一人をよく見ていらっしゃる、と思いました。それぞれの良い個性が引き出されていて、ナットクのいくキャラ設定でした。すべての出演者に名前がついているのもいいな。

そういう意味では、宝塚歌劇ならではの、宝塚歌劇らしい作品だったともいえると思います......銀橋も大階段も、大きな羽根もないけれど。

ドラマシティという劇場も、あまり大きすぎなくて、舞台と客席の間に一体感を感じる、いい空間だと思いました。バウホール同様、この空間だからこそ生まれ得る名作、というのもあると思う。実際、これまでにも心温まるいい作品が多々生まれていたわけだし。それもナットク、でした。

とにかく、見終った後に心に残るあたたかな、幸せな気持ち。心が軽くなったような思い。それがこの作品の「良さ」を物語っていると思いました。

帰りの新幹線の中でも、ず~っとほんのり幸せ。そんな気持ちで家路につけることって。ほんとにステキって思います。

やっぱり涙が止まらない@『タランテラ』初見・大劇場

『タランテラ』

サヨナラの魔術師.....と、ワタシが勝手に呼んでいる(笑)......オギーこと荻田浩一センセイが、おそらくはお気に入りの生徒の一人、コムちゃんのために作る、コムちゃんの最後の作品。そのシチュエーションを考えただけでも、もう十分切ない......

ある意味とてもオギーらしいショーだと思いました。

なにか象徴的なセット。めまぐるしい音楽と色彩の連続。次々と押し寄せる歌の洪水、ダンスの雪崩。正直なところ、細部はハッキリとは覚えていません(苦笑) けどこの作品好きだ、と思いました。

この空気の中に包まれているのは心地よい....それはすでにオギーの魔術の手の内に絡め取られているということなのかしら.....??

フィナーレ。大階段の真ん中で男役たちを従えて、ラテンナンバーを踊るまーちゃんは、すごく格好いい。心底楽しそうな笑顔を見ているのも気持ちいい。まーちゃんはロマンチックで優雅なダンスもいいけれど、こんなマニッシュでシャープなダンスを踊るところはとってもステキ。

そういえば、バレリーナを目指していたまーちゃんは、ナツメさん(大浦みずき)のダンスを見て宝塚を志すようになったって、何かで話していたっけ.....って、ふと思い出しまし。

男役たちの群舞の芯をとる、その姿に。胸にこみ上げるなにかを感じました。

そんなまーちゃんと男役さん、娘役さんたちの姿を、下手の銀橋に佇んで見つめるコムちゃんの後姿が、格好良かった。この人は、いわゆる「男役の型」にはまらないところを、きちんと格好良く見せることのできる人だと思います。舞台の上で隙がない。ある意味ストイックな姿....そこがとても好きです。

燕尾の袖をまくりあげ、髪をかきあげるしぐさに。あのコムちゃんがこんなにも成熟した男役さんになるなんて.....という思いがこみ上げて、感慨深く思いました。

お披露目の『春麗の淡き光に』の幕開けにセリ上がってきた姿。まーちゃんと二人、銀橋を静々と歩いていった愛らしい姿。『Joyful!!』のラテンの場面で、背を反らしたマーちゃんの胸に顔をうずめたコムちゃん。組子全員のラインダンス。その真ん中でパンツスタイルでキリッと踊っていたマーちゃん、ピンクのお衣装で妖精のように跳ねるように踊っていたコムちゃん。結婚式のような優雅で愛らしいデュエット.....いろんな姿が一瞬のうちに思い起こされました。

......『春麗』『Joyful!!』は、ショーが好きで5,6回見たんです。全ツを追いかけて浜松までいきました.....(苦笑)

大階段を一直線に駆け上がり、その向こうに消えたコムちゃんの影に。いろいろな思いが一気にあふれて涙がとまらない。どうしてこんなに涙が出ちゃうんだろう....

思えば、コムちゃんとまーちゃんは、お披露目からずっと、成長し続けてきた人たちでしたね.......可愛らしいけどちょっと心もとない、そんな印象のある二人だったけど(苦笑)。初々しさを残したまま大人になった、いい雰囲気の二人だったと思います.....

ふと気づくと、涙、涙のうちにフィナーレも終っていました。すごくカタルシスがあって、後味のよいショーでした。

でも、コムちゃんのファンのコたちはどうだったんだろう......最後に見たいコムちゃんの姿はこれだったのだろうか.....??? って気もちょっとしました。『堕天使の涙』とテイストが似通っていただけに、宝塚的にキレイなコムまーも見たいっていう人たちも少なからずいるんじゃないかな?って、ちょっと思いました。

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終演後はテラスレストランで、泣きじゃくりながら(苦笑)公演特別ランチをいただきました。おいしかった....

ただただ涙が.....@『堕天使の涙』初見・大劇場

コムちゃん(朝海ひかる)・まーちゃん(舞風りら)のサヨナラ公演である、雪組東京公演も後半にはいりましたが.....

今回の『堕天使の涙』『タランテラ』という作品は、私は10月20日の宝塚舞踊会の日に、せっかくムラまで行くのだから、舞踊会だけじゃなくてコムちゃんのサヨナラも観ようよ....ということになって、同じ日の昼公演を観てきたのでした。そのため、開演の11時に合わせて家を6時前に出るっていう、ちょっと強行なスケジュールになりましたが(苦笑)

せっかくムラまで行ったのに観れないとか、母を連れて立ち見とかはキツいので、事前にチケぴでチケットを購入してから行ったのですが。2階席は結構余裕があったみたい。当日でもOKだったように思われました。

思ったよりも早く到着できたので、売店をのぞいたり、キャトルで立ち読みしたりしながら、開演時間を待ちました。コムちゃんの過去の公演記念『萩の月』が売っていたので、それを眺めたりとか。せっかくなので私は『ベルばら』バージョンがいいって思ったんだけど、母は今日観る『タランテラ』バージョンがいい、と意見が分かれたので、『ベルばら』は私が会社にお土産用に、自宅用は『タランテラ』ということにしました(笑)

宝塚大劇場の2階席は、東京宝塚劇場の2階席よりも傾斜が緩く、ゆったりしています。思ったほど舞台も遠くない。上段には修学旅行の女子高生たちが座っていました。


『堕天使の涙』は、幕開けの黒いお衣装の人々の群舞が、とても強烈に印象に残りました。なんだろう....幻想的というのとはちょっと違うけれど、なにか不思議な空気。でもこの感覚は好きだ!って思いました。

そこにせりあがる、ルシファー@コムちゃん(朝海ひかる)は、深淵な何かを含んだ笑みを湛えて、美しくて妖しくて。高貴でもあり、邪悪でもあり、清らかでもあり.......とりどりの仮装をした人々も、イマジネーションを掻き立てられるような気がして、これからの展開にとても期待させられました........このオープニングの場面は、劇中劇だったのですね。劇場の中。舞台を作る人々が続々と現れる。

堕天使ルシファーを演じたルシファーは、実は本当に堕天使だったのですね........ルシファーは若手振付家ジャン・ポール@水さん(水夏希)を引き入れる。ジャン・ポールは、作りかけた作品が棚上げになって、自暴自棄で酒びたりになっているらしい。ルシファーはジャン・ポールにイマジネーションを与え、その作品を上演されるように、仕組む。
ルシファーがジャン・ポールを招いた城?の場面、美しい舞台です。

華やかな舞台の裏は人間の欲と野望が蠢く世界。ルシファーがちょっと背中をおすだけで、人間は欲望の淵に、エゴイズムの谷底に、あっさりと堕ちていく。身近な愛すべき人々を捨て、あるいは踏み台にして、自分の欲望を押し通そうとする。

そこに一人の清らかな女性が現れた。リリス@まーちゃん(舞風りら)。誰からも愛されない、自分の母親からでさえも愛されることはなかった。そればかりか、その母親に生きる望みと光を奪い取られ、人生のどん底を味わわされている。
リリスは絶望の果てにいて、すべてをあきらめていた。何も求めようとはしない。けれどその姿からは希望を感じさせられた。リリスは見えない光に包まれていた。ルシファーが心の奥に封じ込めていた温かい光を、リリスには感じ取ることができた。
果たしてリリスは不幸なのか?幸せなのか...?

光のパ・ドゥ・ドゥ。リリス@まーちゃんとルシファー@コムちゃんのダンスは、幸せの光に満ちていました。清らかで煌いていて。ふと気づくと涙がこぼれていました。自分がこのとき、何を考えていたのか、何を感じていたのか、わかりません。わからないまま、ただただ大量の涙を流していました....(苦笑)

コムちゃんとまーちゃんのダンスはとっても雄弁で、とても心に響きました。このまま幕を下ろしてくれてよかったのに。この二人には言葉は要らないと思ったのに........季節外れのノエルの場面があり、ジャン・ポールからルシファーへの別れのセリフがありました。サヨナラの決まりごと?案の定そのセリフは陳腐に響きました。

でも、ラスト。スポットの光の中で、ルシファー@コムちゃんは輝いていました。美しかった。ふと気づくと私はまた、大量の涙を流していました。頭の中も、心の中も、空っぽでした。何も考えられない。何も感じられない。心の中のすべてが涙になって流れ去ってしまったような気がしました.......

さて。涙も収まったところで振り返ってみると、ルシファーって何だったの?って疑問が残りました。彼はいったい何しにきたの?
堕ちていく人間たちのストーリーはそれぞれ明快でわかりやすい。けど、そこにルシファーが関わる理由はあったのだろうか?それと同じように、リリス&ジャン・ポールとその母の物語は、この作品全体でどういう位置づけになるのだろう.....??

景子センセイ(演出:植田景子)らしく、ひとつひとつのエピソードは美しく耽美に、丁寧に描かれているけれど、それが全体として何を表現したかったのかがいまひとつ釈然としない.....要するに、キレイだったけど何だったの?っていう思いが残りました。

けど、一緒に観劇していた母にしてみると、わかりやすいエピソードが並んでいるためか、妙にフクザツな話よりも数段面白かったみたい。そういう意味では、幅広い層に愛されるべきタカラヅカ的には成功だったのかしら...? どうも釈然としないけど.....(苦笑)

シアワセになれ~っ!@湖月わたるサヨナラ・パレード

千秋楽の舞台は、日比谷公会堂のスクリーンを通して見ていたのだけれど、サヨナラパレードのガードに入るために、最初に緞帳が下りたところで席を立ちました。すでに日はとっぷりと暮れて、日比谷公園には夜の気配が立ち込めていました。日比谷公会堂を出る人はまだ数人しかいなかったけれど、皆一様に、何かにせきたてられるかのように、小走りで東京宝塚劇場に向かっていました。

劇場の帝国ホテル側で、防寒の支度について話したりなんかしながら、時間が過ぎるのを待ちました。私は入りの後、数寄屋橋のガード下のお店で帽子とマフラーを買ってきたのだけれど、お隣の方は手袋とマフラーを買ってきたそうです。わたるさんの会のお友達からは「ユニクロでセーターを買いました」というメールが.....みんな、朝の想像を絶する寒さに右往左往していたのですね(苦笑)

やがて劇場正面への移動。シャンテの入り口のちょうど真向かいぐらいの位置です。斜め向かいには、報道カメラのためのスペースが用意されていました。

歩道にはすでにわたるさんの会が3列で並んでいて、その後ろにギャラリーがギッシリ詰めていました。その、わたるさんの会とギャラリーの間を、人の波をかきわけかきわけ、2列で入り込んでいきます。

立っていても十分狭いのに、これでほんとに座れるのかしら....???って思っていましたが。人間やってみればなんとかなるものです(笑) でも、姿勢が安定するまでは、周りのコたちと協力し合いながら試行錯誤。少しずつジワジワと陣地を広げながら、自分が安定して座れる場所を確保していく....結局、立て膝のような姿勢がいちばんラクらしい、という結論にたどり着きました(笑)。 さらに私は、座っているすぐ後ろが階段の1段目だったので、そこにつま先をつけて、短距離走のスタートのような体制に。これが意外と楽チンでした(笑)
もし次に同じような機会があるならば、そのときは膝の下に敷くための小さな座布団などを用意しておくと、もっとよいかもしれません(笑)

シャンテ前には、わたるさんの会が2列か3列。最前列には下級生の退団者の会が1列で並んでいました。最初にガードに入っていたあの会服はふありちゃん(真白ふあり)・ひよりちゃん(湖咲ひより)の会かな?

帝国ホテル前の角の工事現場の柱には、通行人が立ち止まらないようにってことだと思うのだけれど、白いシートがつるされていて、目隠しになっていました。その目隠しの前が報道陣の場所。そのさらに帝国ホテル寄りに、さらに白い会服の列が続いています。

朝の弱い光の中で、緊張感を含みつつもどことなく寂しげに映っていた白い会服の群れは、今はなんだか賑やかに華やかにざわめいています。それぞれの胸の奥底はどうあれ、皆一様にこれから始まる最後の行事を待ちわびて、不思議な高揚感に満ちているのですね。

ここにはいったいどれだけの人が集まっているのでしょう......

東京宝塚劇場の前は、フツーの道路です。だから、一般の人がフツーに通行します。車は通行止めになっていますが。さすがに帝国ホテル側からこれだけの人が注目する中を歩こうという人は少ないですが、逆から来た人は、知らないうちにガードの前を歩くことになり、困ったような表情で小走りに歩き去っていく人も少なくありません(笑)

やがて。報道のカメラの人たちが集まり始め。人々の往来も少なくなり.......

大きな拍手に迎えられて、最初に現れたのは、研四の娘役・柚乃怜花ちゃんでした。
こんなに大勢の人々の前にたった一人で立つのは、初めての経験なのではないでしょうか....?
緊張した面持ちで歩いてくる怜花ちゃん。まだまだあどけなさの残る、愛らしい娘役さんでした。初舞台から見ている生徒さんの卒業に立ち会うのは、なんともいえない感慨を覚えます。

続いて、同じく研四の男役・羽鷺つばさちゃんが。組と同期から贈られたハートの形をした赤いバラの花束を手に、照れくさそうな笑顔で歩いてきました。赤いハートは、初舞台のロケットで、49人の天使たちが力を合わせて作り上げた、真っ赤なハートをイメージしているのですね、きっと。

湖咲ひよりちゃん。7年間も舞台に立っていたなんて信じられないほど、初々しくて愛らしい笑顔を、皆に向けていました。

真白ふありちゃん。袴姿のふありちゃんは、少しお姉さんに見えました。ふありちゃんが考えた名前の由来どおり「真っ白い雪がふわりふわりと降り積もるように、努力を積み重ね」てきたのでしょう。ふありちゃんらしい、やさしくほのぼのとした笑顔は、どことなく満足げにも見えました。紋付の袂からのぞく襦袢がつややかで真っ白で、それが妙に印象的でした。

生徒監のオジサマに付き添われた生徒さんは、楽屋口近くでファンからのメッセージを聞きます。 そして、劇場の前を、ファンの拍手に送られながら帝国ホテル方面に歩いていきます。帝国ホテル側の角に停められた車の前で振り返り、手を振り、その車に乗むと走り去っていきます。次の世界に向けて.....

卒業生が一人、帝国ホテルの角から去ると、その会のコたちがゴジラ側に掃け、次の卒業生の会のコたちが帝国ホテル側から入ります。そして、また一人卒業する生徒さんが、生徒監のオジサマに付き添われて楽屋口から現れます。

涼麻とも。トミー。まっすぐ前を向いて爽やかに歩いていました。

少し間があって、大真みらんちゃん。大きな拍手。『フォーエバータカラヅカ』を歌いながら銀橋を歩くときには、涙で歌えないように見えたし、後から来た方も「みらんちゃんいっぱい泣いてたみたい」と言っていたので、心配していましたが、涙の気配はちっとも見えない。会からのお見送りのメッセージを聞いた後は、舞台の上のいつもの姿と同じ。とっても明るい笑顔で歩いてきました。オトコマエ♪真っ赤なバラの花束も可愛らしくて華やかで。みらんちゃんの雰囲気によく似合っていました。
みらんちゃんは「サヨナラ・パレード」というイベントを満喫するかのように、ほんとに楽しそうに歩いていました。でも、あんまりスタスタと早足で歩くので、ギャラリーから「速い!」って声が飛んで、生徒監のオジサマに「もっとゆっくり」と諭されていました。報道カメラの前も行き過ぎそうになって、またまた生徒監のオジサマにとめられていました(笑)。
帝国ホテルの角で振り向いて。何かパフォーマンスをしたみたい。投げキッス?向こうのほうのファンたちから歓声が上がりました。私の位置からは、木がジャマになって卒業生が車に乗るところがよく見えなかったのだけれど。みらんちゃんが劇場側に少し移動してくれたので、再び姿が見えて。したら、両手を広げてなにやらポーズを決めてくれました。大きな拍手に見送られて、車に乗り込んだみらんちゃん。最後まで皆を楽しませてくれて。ほんとうにありがとう。

青空弥ひろさんは、手にしたブルーの花束の色調と同じように、落ち着いて。静かに微笑みながらゆったりと歩いてきました。道の両側に鈴なりのファンの姿を、しっかりと心に焼き付けようとするかのように......

そして.......

エンディ。高央りお。白い花束を抱き、やや前のめりで静かに歩いてくるエンディは、フツーにきれいなオネエサンでした。小柄な男役さんだな......とは思っていましたが、今、こうして袴姿のエンディは、ほんとに小さい。この小さい体躯で宝塚歌劇の舞台を夢見て。舞台に立ってからは、舞台人としてより成長できるように。常に努力を重ね、研鑽を積んできたのですよね......
いつも一生懸命の貴方が好きでした。一生懸命なのに、どことなく力の抜けた雰囲気をかもし出す、貴方の演技が好きでした。すべてをやわらかく包み込むようなあなたの歌声が好きでした。お相手を優しく見つめ受け止める、貴方のダンスが好きでした。
敵役ではあったけれど『長崎しぐれ坂』らしゃとぼらのやりとりが好きでした。ずっとずっと、トウコさん(安蘭けい)とともにいてほしかった.....星組の、タカラヅカの舞台から貴方の姿が見えなくなるのが、ほんとに寂しい......

私はもっともっと泣くのかな.....って思ったけど。でも、思っていたよりも冷静にエンディを見送ることができたのは、なんだかエンディがすごく遠くに行ってしまったように見えたから。それは、緑の袴のせいかしら....????

しのぶ紫さん。しのぶネーサンは、大劇場の千秋楽のご挨拶を聞いたときに、そのあまりの可愛らしさに驚いたものでしたが。この日もやっぱり、とっても可愛らしかった。音楽学校の時代を含めると20年。そんなに長い時間をタカラヅカの舞台の上で生きた方とは思えないほど。とっても愛らしい笑顔で、何度も何度も会釈しながら、歩いていきました。胸に抱いた花束の濃い紫がとても印象的でした。これからは、愛する方とともに、もっともっとシアワセになってくださいね.....♪

そして残るはたった一人。ガードの間に小さなざわめきが、漣のように寄せては返し。報道カメラの間にも、ビミョウな緊張感が漂い始めていました。その瞬間は、静かだったのかなぁ...ざわついていたのかなぁ....? いまひとつ記憶が定かではないのだけれど。
楽屋口のほうから大きな拍手と歓声があがり、背の高い影が行過ぎるのが見えました。

......湖月わたるさんです!

楽屋口の前でしばらく立ち止まった後、ゆっくりと、ファンの一人ひとりの顔を確かめるかのように、微笑みながら、手を振りながら、軽く会釈を返しながら、歩くわたるさん。
わたるさんが私たちの前で再び立ち止まるまで。長い時間がかかっていたような気もするし、あっという間だったような気もします。わたるさんは立ち止まると、いろんな方向に向かって、笑顔で何度も手を振り、会釈をしていました。わたるさんの白くて細くて長い指.....

「わたるさんのことは一生忘れません。シアワセになれ~っ!」

会のコたちからのメッセージを聞くわたるさんの、小さな背中、細いうなじを忘れない......この小さくて細い背中で、いろいろなものを支えてきたのだと思うと.......

今回の公演を観て。きっといつか、わたるさんを思い出すときには『ネオ・ダンディズム』のオマージュのセットの向こうを踊りながら歩いていた姿を思い浮かべるのかな....って思っていたけれど。違う。きっと真っ先に、この、小さな背中を思い出すのだと思った......それぐらい、印象的なわたるさんの後姿でした。

「シアワセになれ~っ!」

わたるさんがとなみに何度も叫んだ言葉。その言葉をいま、わたるさんが聞いている。「なってください」じゃなくて「なれ~っ!」って言葉も、わたるさんにとっても似合う気がする。

ほんの一瞬、小さな背中を軽く反らせて、軽く息を吸い込み。大切なお話を来た後のように、あるいは、深く味わうように......なんていうのかな。神妙な面持ちというのかな。とても深い表情をされたわたるさん.....いや、見えたわけじゃないんだけど、そんな気配を感じました。その後、再び振り向いて、何度も会釈をし。私たちのほうにも、ありがとう、と小さく言葉をかけて頭を下げてくれて......感激しました。

そこから十メートルばかり移動し、報道カメラの前に立ったわたるさんは、あまりに自然体だったので。カメラマンの方々から「左手をこうして」などと「演技指導」を。その様子に、ファンの間から笑いがこぼれました。左手をあげたまま.......その左手の不自然さに、やっぱり笑いが起きていたのだけれど(苦笑).......いくつものカメラのリクエストに応え。ひと段落したころ、わたるさんがその左手でピースサインを作りました。カメラマンの方々が笑ながた、何度もストロボがたかれていました。その様子が、とってもわたるさんらしいなぁ.....サービス精神というか、お茶目っていうか。そのピースサインの写真は、ENAKには掲載されていましたが、公式ホームページでは採用されていませんでしたね(笑)

ひととおり撮影を終えて、再びゆっくりと歩き出したわたるさん。ギャラリーからのストロボの光が、わたるさんの歩みにあわせて、だんだん遠ざかっていきます.........わたるさんの姿が私たちからは見えないところに消えても、ストロボの光はいくつも、いつまでも瞬いていました。いったいどこまで、ファンの列は続いていたのでしょうか....????

やがて帝国ホテル側の角に停めた車の前に姿を現したわたるさん。何度も何度も手を振っている様子でした......木がジャマでよく見えなかったのですが。最後に歓声が上がったのは「きっと投げキッスしてくれたんだね.....」って隣の方と話をしていました。わたるさんの姿はよく見えなかったのだけれど、でも、わたるさんを乗せた車に向かって、皆で手を振り続けていました。

わたるさんだけでなく。退団者の皆さん全部が

「シアワセになれ~っ!」

って、心から思いました、


わたるさんが去った後、白い会服のわたるさんの会の方々が移動されていきました。私たちは「おつかれさまでした」と声をかけながら拍手を。わたるさんの会の方々からも「ありがとう」「がんばってね」と声をかけていただきました......感激しました。

わたるさんの会の方々が移動された後は、星組の生徒さんたちを拍手で迎え、見送りました。でも、どんな順番だったのか、よく覚えていない........トウコさん(安蘭けい)とケロちゃん(汐美真帆)はどちらが先だったっけ?

ケロちゃんが現れたときには、一段と大きな拍手と歓声が。ケロちゃんは、大きな荷物を持って、下を向いて笑いながら、何度もお辞儀をしながら私たちの前を足早に歩いていきました......ケロちゃん、変わらずかっこよかった......

だいたいの生徒さんが、自分の会の前でも立ち止まらずに会釈程度で足早に歩いていったのだけど、ウメ(陽月華)は、まず私たちの前あたりで付き人さんにむかって「え?」と大きなリアクションで聞き返して笑いをとり。自分の会の前?でも何度も立ち止まって、ガードのコたちと話をし。そこに通りかかった真っ赤なコートのすずみん(涼紫央)が、ウメの肩をだいて連れて行こうとするのを道の反対側から見ていた私たちは「オコーナーさん、こんなところで....」といって笑っていました(笑)

全部の生徒さんが出られた後、解散になりました。たいへんだったけれど、とても温かい雰囲気の千秋楽でした。周りの方々と、やっぱりわたるさんのおかげだね、いいトップさんだったね、って話をしました。星組を好きになってよかったね......わたるさんに出会えてよかったね........

星組の温かな千秋楽を体験することができて、ほんとにうれしい。とってもシアワセでした。


あまりに長い一日で。あんまりたくさん泣いたので。何を感じ、何を考えたらいいのか、よくわからなくて。ただただボーゼンと家路についたのでした。

思い出の共有と再確認@湖月わたるサヨナラショー

興奮と喪失感と.......不思議な空気が漂う中、スクリーンにはじゅんこ組長(英真なおき)が現れて、となみ(白羽ゆり)の組替えについて話し、次いで退団者のお手紙が下級生から順番に読まれました。となみや退団する下級生たちに寄せるじゅんこ組長の思いがとても温かく、こみ上げる涙をこらえながらお手紙を読む姿が切なくて、やっぱり胸が締め付けられそうな思いになりました.....ショー『ネオ・ダンディズム』の後半ぐらいから、もうずっと涙が収まらずにいたのでしたが。

やがて大劇場と同じく『ソーラン』から『サヨナラショー』が始まりました。
これはわたるさん(湖月わたる)の宙組時代のものだけれど、いまの星組にとても似合うと思う。男役さんたちの、皆の笑顔がとてもまぶしい。わたるさんの後ろに映っているあかし(彩海早矢)の笑顔がとくにまぶしくて、愛らしかった。わたるさんとソーランを踊ることがとてもうれしいんだな.....いまここにわたるさんといることの喜びを、存分に味わっている、そんな感じが伝わってきました。
私も、スクリーン越しではなくてそこにいたい。客席にいたいと強烈に思いました。離れた場所から映像を見ていることがとてももどかしく、寂しく思いました。

『タカラヅカ絢爛』の灼熱のカリビアンナイトは、わたるさんも客席に下り、客席も総立ちで踊っていました......あぁ。ほんとにそこにいたい。一緒に踊りたい......やっぱり舞台は生でその空気にふれないといけないわ、と、またも強烈に思いました。そうはいっても、千秋楽のチケットはおいそれと手に入るものではないから、致し方ないのだけれど.....(苦笑)

となみの『花に誓う』は、しっとりと落ち着いていて、きれいでした。白地に牡丹?の柄の入ったアオザイもとても似合う。となみ、成長したね.......星組で、ほんとに頑張ったのね......って思って。胸がいっぱいになる。

『愛の三叉路』は黒燕尾でわたるさんが歌う。『ベルばら』という伝統的な作品のなかで唯一わたるさんのために作られた新曲。初めて大劇場でこの歌を聴いたときの印象、退団発表後の東京公演でこの歌を聴くたびに、つい、新しい道に歩みだそうとするわたるさんの姿と重ねてしまっていたこと、などなどが思い出されました。

『アリベデルチ・ローマ』ここでも退団者さんたちがエンディの歌でデュエット・ダンスを踊っているけれど、『ロマンチカ宝塚'04』でもケロちゃん(汐未真帆)とみっこさん(麻園みき)がエンディ(高央りお)の歌で、上手下手でデュエットを踊っていたのだな......ステキだったな......

『1914/愛』の歌は、みらんちゃん(大真みらん)がたった一人で歌っていました。大きな舞台の上で、たった一人。この公演は一度しか見なかったけれど、とても勇気づけられた作品でした。私がわたるさんに勇気づけられたその歌を、いま、新しい世界に旅立とうとするみらんちゃんが歌っていると思うと、なんともいえない感慨を覚えました。

.......サヨナラショーは、思い出の共有と再確認なんだな..........舞台の上の今を見ているのに、その公演をリアルタイムでみていたときのことが次々と思い出されてくる。あのときはああだったよね、こうだったよね、って。舞台の上のスターさんに、心の中で語りあっているような気分になります......ある種の共犯者意識のようなもの?

わたるさんはラダメスのお衣装に着替えて『エジプトは領地をひろげている』、次いでアイーダとなったトウコちゃん(安蘭けい)と『月の満ちるころ』を。トウコちゃんはとても美しくて、とても女性らしかった......しかも、歌だけではなく、少しだけだけれど、お芝居のセリフを語っていました。わたるさんが「14番目の月を」というところで、セリフに詰まったけれど。
トップさんと二番手さんでともに頑張ってきた二人だけに通じる何かがきっとあるに違いない.....トウコさんを抱きしめるわたるさん、わたるさんに抱きしめられるトウコさんがそれぞれに、一瞬、なにかこみ上げるものに耐えるような表情をしていたのが印象的でした。
トップさんがサヨナラショーで二番手男役さんとラブシーンを演じるなんて、前代未聞だと思うけれど、でも、これがこの二人の原点だし、ここでこのようなお芝居ができることがこの二人の絆の深さでもあろうし、私たちももう一度観たかったものでもあるのだから。ほんとうにうれしいし、素晴らしい場面でした。

『すみれのボレロ』これも、わたるさんの象徴的な黒燕尾の場面なのかな........私は韓国公演はもちろんのこと、全国ツアーにも行かなかったので、結局最後まで生で観る機会はなかったのだけれど。

最後は『王家に捧ぐ歌』の合唱。こんなに素晴らしい歌を持つトップさんってほんとにステキだなって思うし。この歌はわたるさんが率いる星組にとても似合うと思う。

生で観られないのは残念だったけれど、とてもステキな素晴らしいサヨナラショーでした。サヨナラがこんなに素晴らしいからなおさら、わたるさんの卒業が寂しくて切ないものに思われてきます。


再びじゅんこ組長が登場し、退団者さんのお手紙の続きを、時折声をつまらせながら紹介しました。どのお手紙も、それぞれの思いがあふれていたし、それぞれの生徒さんに寄せるじゅんこさんの言葉も愛情にあふれていて、とても感動しました。

卒業生が緑の袴で大階段を下りてくる姿は、いつ見ても、誰を見ても、清々しくて切ない。

最初に下りてきた柚乃玲花ちゃんと羽鷺つばさちゃんは、私が初めて初舞台生口上を見た『花の宝塚風土記』で初舞台を踏んだ生徒さんたちです。この作品では、口上もショーの中に組み込まれていたので、舞台の上の彼女たちの紋付袴姿を見るのは、これが最初で最後なのです。そう思うと、なんだか一層切なく思われました。

退団者さんたちのご挨拶は、どれも胸を打たれるものでした。

中でもエンディのご挨拶は、いいお話でとても感動的でした.....けど、話の中で。同期と出会えたことの素晴らしさに触れ、「とくにトウコ」と言ったとき、日比谷公会堂の客席に笑いが起こったのがショックでした。どうして?いいところなのに.........エンディに語りかけられて、涙をこらえるためか、身を硬くしたトウコさんの姿が、とても切なくて愛おしく思われました。
けど、エンディがご挨拶をしている間も、なんだか現実感がなくて......映像で見ているせいでしょうか....??? エンディは「退団者」を演じているのではないか?と、このときもやはり思ってしまいました......こんなにお芝居も歌も熱心で上手で、上手にお話もできる生徒さんが、ここからいなくなってしまうことが、ほんとうに惜しくて寂しい........思わず、いや、思っていたとおり、号泣してしまいました。

しのぶ紫さんのご挨拶も、簡潔だけれども思いがこもっていて、感動しました。


.....そして、その瞬間が訪れました。

最後にじゅんこ組長に名前を呼ばれたわたるさんの返事は、思っていた以上に明るくて爽やかでした。
が、大階段に現れたわたるさんは、紋付袴姿でした。友達たちが、紋付袴姿で現れたら、ほんとに卒業だって気がして、きっとつらくなる.....といっていた、その紋付袴姿。ほんとに卒業してしまうんだ、ていうか、ほんとにもう、男役さんではなくなってしまうんだ.......と思うと、私も軽いショックを覚えました。あぁそうなんだ。やっぱりそうなんだ.....

わたるさんのご挨拶は、短い言葉の中に、たくさんの思いが込められた、とてもわたるさんらしいものでした。こうして、すべて終わっていってしまうのだな.......わたるさんも、エンディも、ほんとに卒業してしまうんだ......

『タカラヅカ・フォーエバー』を歌いながら退団者が銀橋をわたり、三度緞帳が下りたところで席を立ちました。退団者パレードのためのガードに入るため.......でも、切なくていたたまれないような気持ちになっていたことも、事実です。

外はすでに真っ暗になっていました。ガラス窓に映る自分が泣き腫らした目をしていて、このまま外に行くのは恥ずかしいな.....と思いながら、まだ人気のない日比谷公会堂の石造りの階段を一人駆け下りて行ったのでした。

彼方の星に@湖月わたるラストデイ(2)

開演前にお友達が「幕間はやっぱり30分かしら....?」と言ったので。「劇場よりも短いってことはないでしょう」って、つい突っ込みを入れてしまったら、とても悲しそうな顔をされてしまいました。こんな日にまで突っ込みを入れることもないのにね.......すごく反省しました。

「サヨナラ公演・千秋楽」という特殊な空気。寂しさに沈み込む気持ちと裏腹な、不思議な高揚感。いろんな気持ちがない交ぜになって。その瞬間は確実に近づいていました......

東京宝塚劇場と同じ約30分の幕間をはさみ、ロマンチック・レビュー『ネオ・ダンディズム』が始まりました。わたるさん(湖月わたる)の最後の開演アナウンス.......今日は何もかもが「最後」なのだ、と思うと、目にするもの耳にするもの、すべてが切なくて寂しい。

何度となく.......ほんとに何度となく観たショーが。スクリーンを通してみるとこんなにも違うものに見えるのかしら...??? って戸惑うほど。ショーの前半は、それまでと異なるものに見えました。なんだろう......リアルな感覚がない。生中継なのに。電波が人工衛星に飛んで戻ってくるだけの時間、秒針でも測れないほどわずかなタイムラグで観ているのに、すごい過去の映像を観ているような気がする。遠い.....

でも、映像で観る舞台はきれいでした。それまでと違う美しさを感じました。大階段に整然と並ぶ男役さんたち。白地に大きな龍を描いたアオザイを着たわたるさんは、とてもかっこいい。舞台の袖にソフト帽を投げ込む姿もキマる。赤いアオザイのとなみも、すごく艶っぽい。初日の頃よりもずいぶん雰囲気が変わった......って思うと、初日が遠い昔のような気がしました。

映像は、基本的にわたるさんを中心に追っているので、それまでずっとご贔屓さんばかりを追い続けて来た私にとっては、とてもとても新鮮でした。あ~ここはこういう場面だったのか......って。今更ながら。

『ネオ・ダンディズム』銀橋に並ぶカサノヴァ風の男@わたるさんとバラの乙女@となみ(白羽ゆり)は、ゴージャスですね。わたるさんの柔らかな白いブラウスも、となみのピンクのドレスもステキ.....ていうか、今頃それに気づいてる私って何?ッて感じですが(苦笑)

『ダンディズムとは』じゅんこ組長(英真なおき)の千秋楽のお約束、「湖月わたるもお忘れなく」。この場面、しみこちゃん(和涼華)もみらんちゃん(大真みらん)も、ゆかりちゃん(綺華れい)もしゅんくん(麻尋しゅん)も、みんなヒゲをつけてて、妙にかわいい。しみこちゃんが遠目にどことなくたかこさん(和央ようか)に似ているような気がするのは、やっぱり宙組育ちのせいでしょうか....??

『パンパ』の場面のお衣装。黒いお帽子にガウチョスタイルも、さすがに目が慣れた(苦笑)。お衣装それ自体をかっこいいとはやっぱり思い難いのだけれど、ここのダンスはとってもかっこいい.....舞台上手で、トウコちゃんとあかし(彩海早矢)が立ち話してるとことか、ことこと(琴まりえ)がトウコちゃんに抱き上げられたところから、ひらりっと飛び降りるところとかもかっこいいんだけど、カメラはやっぱりわたるさん中心なので、あんまりよくわかりませんでした。ちょっとがっかり。でも、そのぶん、わたるさんのダンスを堪能しました....最後だものね....旅立つわたるさんを見送る友人たちの中に、エンディ(高央りお)としのぶねーさん(しのぶ紫)の姿があるのも、ぐっときました。

『You and the night and the music』今朝あんまり早起きで、ずっと動き回っていたから、ここで急に意識が遠のき........しぃちゃん(立樹遥)、すずみん(涼紫央)以下、男役のみなさま、とくにみらんちゃん、ごめんなさい.....

『キャリオカ』舞台中央に設えた階段にわたるさんが登場すると、この日も「わたる~っ!」って声が掛かりました。なんかな......
この場面、初演が花組だったせいか、花組っぽいなって思って、最初は違和感があったんだけど、明るくて華やかなこの場面をわたるさんの星組で見られてよかったって思っています。今は。
みらんちゃんがずっとわたるさんの斜め後ろに映っていて、ずっと笑顔で。とても印象的でした。

『恋する男はドンキホーテ』しぃちゃんとすずみんが胸に花をつけていて。あれ?この場面、お花をつけていたっけ?って思ったら、そのお花をふありちゃん(真白ふあり)、ひよりちゃん(湖咲ひより)に手渡していて、なるほど、って思いました。ふありちゃん、ひよりちゃんは、そのお花を手に持って歌ってました。
けど、今回の公演。ふありちゃん、ひよりちゃんとも、お芝居ではメイドさんだし、ショーではキューティー8だし。愛らしさ炸裂でしたね......この愛らしい姿も最後なんだな.....

『惜別―オマージュ―』客席は皆、これから始まるものを知っている。だからシンと静まり返ってそれを待っている、そんな感じがしました。

「この世のすべてのものが灰になる中で、
 仲間たちとの楽しい思い出は、
 夜空に輝く星になると言います」

スクリーンに大写しになったとなみは涙声。初日から、幾度心の中でとなみに呼びかけたことだろう。そして今もまた......がんばれ、となみ。

果てなき空で動かぬあの星のように
いつもこころの中で 光放つ思い出....

トウコさんの歌はどうしていつもこんなに心にしみこむのだろう。映像で見ているためか、ほんとに遠いところで踊るわたるさんを見つめているような気持ちがする.....

かなたの星に導かれて
こここから歩き出す......

トウコさんの歌は、いつも以上に絶叫のように聞こえて、フレーズの最後が途切れました........切なさに胸が苦しい......

永遠に....

舞台後方に歩みながら、客席を見渡すわたるさんの表情が、少しゆがんだように見えた。はるか彼方を見渡すように見えました.......わたるさんが、ほんとうに遠くに行ってしまうような気がしました.....

『All by myself』大階段の中央に現れたトウコさんの表情は、静かに心の中の声に耳を傾けているような、そんな風に見えました。穏やかなだけに切なく聞こえる歌声.......少し上気したようなエンディ(高央りお)の表情。これまでになく感情がこみ上げるかのような歌声......涙があふれてきそうになるけれど、でも、いまこの場面をしっかりと見届けたいという気持ちで、力いっぱい涙をこらえていました。

舞台下手の男役さん4人、銀橋上手側のトウコさんと、大階段の中央のわたるさんがスクリーンに映りました。曲が替わるのを待つわたるさんは、うつむき加減で、何かを考えているかのように見えました。それとも、無心になるべく心を鎮めていたのか.......最後の大階段で思うことは、何だったのだろう......

けど、前の場面で涙をこらえた反動か、涙が止まらなくなりました。わたるさんが黒燕尾で踊る姿を見て、ずっと泣いていました。私は今、悲しいのかな....寂しいのかな.....この思いを表すのにふさわしい言葉が見つからないけれども.....

『真情真美』デュエットは、とてもきれいでした。終わったとき、あぁほんとうに終わってしまったのだと、なんだか力が抜けていくような気がしました.....わたるさんがここにいる、そのことが好きだったんだな。私.......

銀橋の中央で、大きな拍手を浴びているわたるさんを見て、とても寂しく思いました。トップさんのサヨナラの千秋楽で、最後にお辞儀をする姿を見るのは、いつもとても寂しくて切なくて、たまらないのだけれど、今回はその思いがひとしおです。

パレードを終え、緞帳が下りたとき。これでほんとうに終わりなんだと、あらためて思い、寂しくなりました。この舞台が終わってしまう。わたるさんがここからいなくなってしまう......今まさに「彼方の星に導かれてここから歩き出す」のだな、と.......

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