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熱く強い「思い」は横たわる時を軽々と越える

水曜日、AKANEさんのブログで「プライスコレクション 若冲と江戸絵画展」のことを読んで、それがこの次の週末までということを知って。木曜日、大慌てで上野の山にかけつけたのでした.......会社はサボりました(苦笑)


たけしの誰でもピカソ』とか、雑誌とかで取り上げられて話題になっていたので、会期末の土日はきっと落ち着いて見ることができないだろうから.....と思ったら、平日の昨日も、展示ケースの前に二重三重に人垣ができるほどの混雑ぶりでした。ある程度予期はしていたけれど、それにしてもビックリ。

若冲の絵は、時間と空間を切り裂く感覚の鋭さとか、現代的な構図とか、当時の絵画(日本画)にはみられない斬新な手法とか。現代に生きる私たちが、国立博物館平成館っていう現代的で無機質な空間の中にあっても、すごく新鮮に感じます。だから、再評価とか、話題になったりもするのだと思いますが。

.....なんて難しいことを考える前に、いちばん印象的だったのは、若冲さんの描く動物が、とっても愛嬌があったこと。こちらを見つめる表情が、とっても愛らしいの。鶏にしても、トラにしても。それに、すごくイキイキしている。絵の中でちんまりとかしこまっているのではなく、いまにも動き出して何かを訴えかけるような、躍動感を感じます。それって、若冲さんが対象を見つめる目がとっても温かかったからなんだろうな.....愛情がこもってたからなんだろうな.......って思います。

それと同時に思ったのは、若冲さんって、絵を描くことがとっても楽しくてたまらなかったんだろうな.....って。なんか、そういう楽しさ、みたいなものが伝わってくる気がしました。

そういう、対象への愛情や絵を描くのが大好きっていう思いは、百年以上の時を隔てても、その絵を通じて現代の私たちに伝わるものなんだな....って思って。すごいことだなぁって思いました。

別の場所で若冲展を見たお友達が「時代を超える感性」と表現していましたが。強い「思い」は時代の間に横たわる時を軽々と超えることができるのだな......それこそがAKANEさんの言っていた「絵の力」なのかな.....って思いました。

この夏。高校野球といい、若冲さんの絵といい。「思い」というものに思いを馳せる機会が少なくありませんでした。

宝塚歌劇も、作品を作る人々の「思い」に感動するところ、といえるかもしれません。その「思い」にふれ、新たな感動に巡りあうために、何度も劇場に足を運んでしまうのですね.....ちょっと強引かな?(笑)

鍛えた体にフロックコートが似合う...

1/3(月)
新選組!!土方歳三 最期の一日
昨年......もう一昨年になってしまうのですね......放映された『新撰組!!』では、山本耕史演じる土方歳三が格好よかったのだけれど、その土方歳三を主人公にしたドラマが、お正月の特番で放映されました。『新撰組!!』では、新撰組組長・近藤勇が主人公だったので、近藤勇が処刑されたところでドラマが終ってしまうのだけれど、土方歳三は、幕府軍とともに、箱館まで逃げ落ち、五稜郭の戦いで命を落としたのでした。その、土方歳三の最後の日をドラマにしたものでした。

すでに明治の時代に入っているので、登場人物は洋装の人が多く、土方歳三もフロックコートのような丈の長い上着で登場します。

長らく宝塚歌劇ばかりを観ていて、男性のフロックコートや軍服は、宝塚の男役さんの理想化された姿ばかりを見続けていたので、昨年、劇団四季の『オペラ座の怪人』を観たときには、リアルな男性の軍服とかフロックコート姿に、失望感を禁じえなかったのですが......だから、このドラマでも、あんまり男性の洋装姿には期待していませんでした。

でも、さすがはミュージカルなどでも活躍している山本耕史クン。洋装に後ろに撫で付けた髪は、格好良かったなぁ...それに、榎本武揚っていう、土方の上官に当たるのかしら?箱館の幕府軍の総指揮官のような人を演じた片岡愛之助の洋装姿もまた、ステキでした。やっぱり、芸事で鍛えた身体にはフロックコートが似合うのかしら...???
片岡愛之助って、昨夏、月組のキリヤン(霧矢大夢)が梅田芸術で歌舞伎と宝塚のコラボレーションの作品に出演したときに、キリヤンの相手役をした、関西歌舞伎のホープといわれているスターさんなのだけれど。愛之助って、なんともいえない愛嬌があって、ちょっと好きかも...って思いました。

「本物の芸」に感激!

1/2(日)その2
年末から年始にかけては、日頃はあまり見られない歌舞伎や邦楽の番組が、地上波でのんびり見ることができて、とってもうれしいです。

今日の夜は、歌舞伎座で初日を迎えた坂田藤十郎襲名披露公演の劇場中継を見ました。宝塚歌劇団OGで参議院議長の扇千景センセイの旦那様の中村鴈治郎が、231年ぶりに大名跡を復活・襲名し、その東京でのお披露目が今日から始まるのです。同時に、お孫さんの初舞台披露もあり。お正月に加えておめでたいこと尽くしの歌舞伎座ロビーは、なんとも華やいだ雰囲気に包まれています。いいなぁ。あの雰囲気の中にいられたら、シアワセだろなぁ....。

『伽羅先代萩』御殿の場。藤十郎の政岡に感激。長年培った芸の力というのでしょうか?奥深さというのでしょうか?その気合、迫力に、ただただ引き込まれてしまいました。所作も、ひとつひとつが滑らかできれい。
お家騒動の最中。乳母として使えている若君のもとに届けられた毒入りの菓子を、自分の息子が食べてしまう。そのうえ、毒を盛ったことを知られては困るというので短刀で喉元を掻き切られてしまう。あまりに残酷。若君を守り、人前では平然とわが子の死を見守る政岡。しかし、皆が去った後に一人残った政岡は、激しく悲嘆にくれる......その悲嘆にくれる様には、胸に迫るものがありました。ただ芝居を観ているだけなのに、身体のどこかが痛む......トイレに立つのも忘れて、ただただ見入ってしまいました。

テレビ観劇とはいえ、お正月からこのような舞台を観られたことはシアワセ。やはり「本物の芸」を観なければいけないな...と思いました。
宝塚歌劇の「和もの」といわれるお芝居は、歌舞伎の流儀を習っているらしいけれども、やはり本物の前には真似事に過ぎないんだなぁ...っていうのを、あらためて感じました。『長崎しぐれ坂』を見た後だけに、なおさら、そのことを強く感じてしまいました。

番組には、みきちゃん(真矢みき)がゲスト出演して、舞台中継の合間にお話をしていました。上品な和服をきて、しっとり女らしい受け答えを見せるみきちゃん。みきちゃんがトップの頃のいつだかのお正月に、宝塚歌劇の初日中継にゲスト出演して、なんともクールな受け答えをしていたのを思うと、月日の流れを感じます......でも、頭の回転の良さそうな、機敏な受け答えはあの頃と同じ。
暮れからお正月にかけては、紅白歌合戦とか、スタジオパークの特番とか、頻繁にNHKに出演していたみきちゃん......朝の連ドラに出演しているせいかもしれないけれど......今年もますますの活躍をお祈りしております。

玉三郎のお富、仁左衛門の与三郎

10/7(金)
スカパーの『歌舞伎チャンネル』で、玉三郎のお富、仁左衛門の与三郎で上演された『与話情浮名横櫛』が放映されたので、留守録しておいて、夕飯を食べながら母と二人で見ました。普段は女性が男役するのを見てるのに、今日は男性が女形を演じるのを見ています。「なんか可笑しいね...」なんて、母と笑い合ってしまいました。

この作品は今年の4月歌舞伎座で、勘三郎の襲名お披露目公演の2ヶ月目に上演されたものです。
一昨年だったかな?母を連れて歌舞伎座に観に行ったときも同じ作品を見たんですが、そのときは勘三郎が演った蝙蝠安は、このときは左團次だったようです。勘三郎は、最初の木更津の場面でちょこっと出てくるだけ。でも仁左衛門と二人、道行の場面は、客席内を練り歩いたりなどして。このときの1階席のお客さんはうらやましい...

玉三郎はすっかり円熟って感じで、お富さんは気風がよさそうで色っぽい。そして、仁左衛門はほんっとにキレイ。大店の若旦さんの、ちょっと頼りなげな風情も、切られ与三の冷たく凄みのきいたところも、どちらもやっぱり色っぽいし。キレイ。お富さんに出会って、一目ぼれして、魂が抜け出してしまったようなところなど、本当に魂が抜け出してしまったよう...なんだか透き通って浮かび上がってしまいそう。ただただ、キレイ。それ以外の形容が思い浮かびません...kohちゃん(汐風幸)のお父さんなんだよね...なんてことは、すっかり思い浮かばず。母と二人、ただただひたすら。タメイキをつきながら、テレビの画面に見入っておりました。

それにしても、玉三郎をはじめ女形の方々は、ほんとうに女性らしく作るものだなぁ...ご新造さんに従う年配の女性役の役者さんにしても。
宝塚では男役が男らしくあるためには、娘役のあり方が重要だって聞くけれど、歌舞伎の世界でもそのようなものがあるのかしら...?