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それぞれに歴史がある......

『A-“R”ex』で、2人の生徒さんが歌劇団を卒業されました。

1人はいわずと知れた専科のシビさん(矢代鴻)。もう1人は、月組のはるちゃん(麻華りんか)です。

私が舞台の上のはるちゃんを初めて観たのは、リカさん(紫吹淳)がトップだったころの『宝塚花の風土記』で、赤いお着物....ピンクだったかしら?はっきりと覚えていないけれど、桜の枝を振りながら舞台に現れた3人の女の子の中の1人だったのですね......愛らしい姿でした。初舞台生?って思ったけれど、研2のはるちゃんと羽咲まなちゃんだったのですね。

声がきれいで歌が上手な人っていう印象はこの頃からのものかと思っていたけど。じつはその後の『愛しき人よ』の、歌姫の印象からだったのかもしれないですね........タカラヅカニュースのインタビューの中で流れた映像を見て、そう思いました。

でもともかく、歌の上手な人っていうイメージを、ずっと持っていました。実際、インタビューの中でも「たぶん誰よりも陰コーラスをしている」という話をされていました。安心して歌のパートを任せられる人だったのですね。きっと。

病気でしばらく休演されたことは知っていましたが。復帰が危ぶまれるほど、大きな病気をされていたとは知りませんでした。だから、インタビューで病気の話が出たときには、ほんとうに驚きました。でも、そんな大きな病気を経験していたなんて、微塵も感じさせないほど、明るい笑顔で語る姿に、ほんとうに強い人だな、と、尊敬に近い気持を持ちました。大きな病気を乗り越えて、宝塚の舞台に戻ってきてもらえて、ほんとうによかった。再び舞台に立てたときは、どんなにかうれしかったことでしょうね......

インタビューを見て、自分の中に自信を持てるものを持てるのは、素晴らしいことだなって思いました。はるちゃんの場合はそれが「歌」だったのですね。しかもそれは、プログラムには必ずしも書かれているとは限らない「陰コーラス」。いわば縁の下の力持ちのような立場だったりもするけれど、それに対して誇りを持てることは、素晴らしいなって思いました。自分に誇りを持てる「何か」があるから、がんばれたのかな.....

今回『A-“R”ex』で、クレオパトラという、ある一瞬の出来事を語るために歴史上に現れた、悲劇の花嫁を演じる姿を見て。こんなにも、はかなくて切なくて、けど深みのある歌を。涙の池が砂漠の中に蜃気楼のように浮かんでは消えるような。そんな歌声が、とても心に残りました。たぶん、はるちゃんがこれまでに経験した絶望と喜びが、その思いが大きく深かった分だけ、はるちゃんの心の中にさまざまな感情の襞を折り上げていて。それが歌になって現れ出ていたのでしょうね......

こんなに味わいのある歌が歌えるはるちゃんは、もっともっと「聞かせる歌」が歌える人になるかもしれなのに。こんなに早く卒業されるなんて、惜しいことだと思っていました。でも、はるちゃんがこれまで頑張ってこられたであろうことを思うと、もう、おつかれさまって言ってあげないといけなのかな.....と思いました。残念だけれど。

生徒さんにはそれぞれ、宝塚の生徒さんとして生きた歴史があるのですね。宝塚歌劇を観ることは、そんな生徒さんの歴史を見守ることでもあるのかな.......そしてそれは、自分が生きてきた足どりに重なっているのだな........と。印象に残る生徒さんの卒業に接するたびに、思ったりします。

はるちゃんのこれからの人生が、明るい笑顔に包まれた幸せなものであることを、心からお祈りします。

幕が下りるのが悲しかった...@月組『A-"R"ex』青年館My楽

月組『A-Rex』2度めは、1月12日夜の部。お友達がネットで手にいれてくれたチケットで、きりやん(霧矢大夢)大好きの母を伴っての観劇です。

薄暗く冷たい雨の降る土曜の午後。母を伴い外苑前から日本青年館へ。到着するとすでに、女子トイレには長い長い行列が。やはり青年館で観劇の際は、事前にどこかで用はすませてきたほうがいい、と、実感.......なんて下世話な話題で始めてしまいました。失礼いたしました(苦笑)

この作品は、やはり2度めのほうが面白い。最初にアレックス@あさこちゃん(瀬奈じゅん)が登場したときに、ストン、と胸に落ちるものがありました。あ~そうだったのか.....と。

謎解きではないけれど。伏線というのとも違うかもしれないけれど。最初の場面に仕組まれた作家の意図のようなものを、感じました。お芝居を見終わった後にこの場面を思い出して、あ~そうだったのか.....と思うことが望ましいのだと思うのだけど、お芝居の中で語られる言葉があまりに多く、語られる世界があまりにも深遠で盛りだくさんなので。観終わったときには、最初の場面のことはすっかり忘れていたのでした。

この物語の中にあふれるたくさんの言葉は、さまざまな喩えを含んでいて、韻を踏んでいて。芝居のセリフというよりも、おのおのが詩を朗読して......歌って?.....いるように思えました。でも私には、そんな言葉の洪水が心地よくて。2度めだから、初見のときのように「何を言ってるの?」と、戸惑ったり迷ったりすることもなくて。本当に気持ちよく舞台を観、言葉を聞いていました。

セリフの言葉が歌うように響くので、歌が混じっても、あんまり違和感がなくて。それと同じように、派手なダンス・パフォーマンスも少ないけれど、その代わりに踊るような身のこなしが、自然にダンスに変化しているような。そんな、舞台の上の人の動きを見ているのも心地よいと思いました.............あまりに心地よくて、このときもまた、第1幕は睡魔という敵に敵わず。なんか大事なときに眠っていたのではないか?という不安が拭い去れないのですが.....(苦笑)

やっぱり、このお芝居は、このメンバーでなければ作りえなかったものなんだな....一人ひとりがとてもたくさんの詞を淀みなく語り、歌い、それぞれ独自の世界を作り上げている。その、独自の世界をもつ人物どうしが、せめぎあい、ぶつかりあうような緊張感ある関係を保っている。でもそれは、観客に強いるものではなくって。観客は何か一つの大きな流れのようなものの中に包み込まれ、流されていくような感じ........その流れにうまく乗れなかった人には、濁流の中に取り残された中州に立ち尽くすような、呆然とした感じ、不安な感覚が残るかもしれないけど。

それでも、アレックス@あさこちゃんや、ニケ@かなみちゃん(彩乃かなみ)、ディオ@きりやんはじめ、それぞれが魅力的なキャラクターなので。ファンにとってはそれだけでも十分楽しめたりするんじゃないかな......ちなみに私の母は年配なので、話の流れにまったくついていけなかったらしく。ディオが登場したときだけはシッカリとオペラグラスを握り締めていたけれど、他の多くの場面は、心地よい眠りに落ちていた.....いや第一幕の私も、母のことばかりはいえない状態でしたが(苦笑)

物語は、前回思った以上に神々と人間アレックスの対峙が描かれたものでした。アレックスの周りは神の意のままに運んでいるようだけれど、アレックスの思いもあれば、周囲の人々の人間ならではの心の動きもある......その中で、アレックスには明確な意思が見えない。ただただ、運命に従うだけのように見える。神々の筋書きと人々の思いの中で戸惑っているように見える。

あさこちゃんは「運命に翻弄される」とか「果てしなく苦悩する」とか、そういう状況がとても似あう人だな....と、ずっと以前から思っていましたが。まさに本領発揮という感じ。苦悩する姿がせつなくて、美しい。でも、だからといって弱々しいのとも違う。作・演出のオギー(荻田浩一先生)は、プログラムに「彼女本来の魅力である繊細さと心細い切なさを、くっきりとした輪郭で逞しく描き出すことに長けた人」と表現していますが。あさこちゃんの存在によって、イマジネーションされた部分も少なくなかったのだろうな.......アレックスが苦悩していると、つい「もっともっと!」と思ってしまう自分がいたりします(苦笑) 。アレックスの痛みを伴う美しさ、切なさは、すごくありふれた表現だけれど「若さの煌き」にも通ずる気がして。そういう点で、アレックスの痛みは、時代や国を超えて。現代の私たちにも通ずるものであると、納得させられる気がする。

ポスターにもなった不思議な迷彩のお衣装は、よく似あってた。私はこのお衣装と、最初と最後の茶色のコートがいちばん好きだったかな.....て、いずれもいちばん宝塚のトップさんらしからぬお衣装ですね(苦笑)

戦場の女神ニケ。戦場を軽やかに飛び回り、タンバリンを手に歌い踊るニケの姿は、ほんとうに魅力的。人々を誘い、鼓舞し、打ちのめす。気まぐれな小悪魔。勝者に喜びを、敗者に悲しみをもたらす。そんなニケは、かなみちゃんにぴったりだと思いました。かなみちゃんならでは。かなみちゃんにしかできない役だと思いました。

あさこちゃんとかなみちゃんは、異なる位相の光を持ったスターさんだと、以前から思っていました。同じ光を持ち、同じように力強さと危うさを併せ持っているけれども。輝きが違う。輝く場所が違う。だから、離れたところで惹きつけ合う二人、知らずに思いあう二人、というお話がとても似合うと思っていました。そんな二人の関係の中で放たれる、危うく切ない光に、魅力を感じます。私は。

だからこの、アレックスとニケお話は、私はとても素敵だな...と思いました。アレックスが最後にニケに出会ったとき「ナイショよ」と人差し指を立てるかなみちゃんは、とても愛らしくて魅力的。かなみちゃんのこんな様子が、私はとても好きだし、そんなかなみちゃんの傍らに佇むのは、やっぱりあさこちゃんがいちばん似合うと思う。

ともかく、アレックスはアテネ@タキさん(出雲綾)の筋書きどおりに、ペルシャの果てに行き着く。神の筋書きはそこで終る。でも、アレックスは止まらない。

アレックスの問いかけに、ディオが答える。「神々の計画の向こうには運命が待ち受けている」......またも意訳で申し訳ないのですが(苦笑)。 でも、名言だわ。

アテネは言う。結局神などいないのだと。神は人間の思いが作り出したもの。アレックスの王国は歴史の中の徒花になったと。けれど果たしてそうだったのだろうか......

アレックスとニケ...あさこちゃんとかなみちゃんが手を取り合って光の中に歩み始める。幸福と切なさの入り混じった不思議な気持ちに包まれたとき、静かに幕が下りた......その瞬間、不意に涙が出そうになった。

このお芝居が終ってしまうことが悲しかった。心地よい夢の途中で目覚めてしまったような気持ち.....幕が下りることが、ただただ悲しかった......

今だから見れる舞台を見る醍醐味@月組『A-“R”ex』初見

2008年の年明けに、最初に観劇したのは、1月2日。星組『エル・アルコン』『蘭の星』の東京公演初日だったのですが、先にこちらを書いておきましょう。

月組『A-“R”ex』-如何にして大王アレクサンダーは世界の覇者たる道を邁進するに至ったか-

初見は1月9日。日本青年館で夜の部を観劇しました。

開演ギリギリに1階客席に飛び込んだ私の目に映ったものは、舞台の上に浮かんだ大きな世界地図。そして、赤茶色い岩の崖のようなセット。赤い大地。オギーの世界だ......

やがて、1970年代ぐらいのヒッピーみたいなレイヤードとかパッチワークとか、ジーンズとかのお衣装のコたちが現れ......皆スタイルがいいから、とってもかわいい。センスがいいのかどうかはよくわからないけれど、かわいい。キュート。これからどういう風に話が始まっていくのか、すごく期待させられます。

続いて登場したタキさん(出雲綾)は、やはり1960年代か1970年代ぐらいの、アメリカの女性士官の軍服を着ていました。帽子をかぶって、キリリっとした佇まいが新鮮です。でも、客席に向かって声をかけたり、若者たちを急きたてるあたりは、いつものタキさんの芸風。なんだかこのお衣装ともぴったりハマってます。なんとなく安心感(苦笑)。

上手の崖の上に現れ、たたずむ、あさこちゃん(瀬奈じゅん)がきれいで、なんだかせつない。これから、アレキサンダー大王の劇が。劇中劇が始まるのね.......


タキさんは アテナ。アテネの守護神で、戦いの女神。この世の人の営みは、神が作り演出する劇なのね。女神は思いのままにシナリオを作り、人々を動かそうとするのね。

アテナは戦いの女神ニケ@かなみちゃん(彩乃かなみ)を、アレックスの元に遣わすのだけれど。女神が遣わす前に、二人は出会ってしまう。

ニケの登場からアレックスとニケが出会う場面は、とても素敵でした。ひりひりとした甘い痛み。キラキラとサワヤカなロマンチック......この二人だから醸し出せる雰囲気。ここを見ただけで、なんか満足な気がしました。この作品ではこの場面が見れただけで、いいわ......って、早くもこの瞬間に思いました。

アレックスは、ニケに魅せられて走り始めたのかしら.....


父王フィリップの死。若くして王となったアレックスは、父王の始めた戦いを続けることにためらい、逡巡する。

神の意のままに生かされることに、抵抗する。

アレックスと母の関係は複雑。正直言って難しすぎて、私にはよくわからなかった。ただ、母はアレックスを愛していて、だけどそれと同じくらいアレックスを憎んでいるらしいてことはわかりました。アレックスの中に夫の面影を見いだし、それを憎んでいるのかしらね?よくわからない。

けど、アレックスは母に追いやられて、なのか。母から逃げるため、なのか。ともかく走り始める。


アレックスの母オリンピアス@シビさん(矢代鴻)は上手い。やっぱり上手いな....歪んだ愛、嫉妬、憎悪。情念。女の、人間の心の奥底にに潜むどろどろとしたものを引きずり出して、さらけ出すような歌。心と耳をつかんで離さない。歌詞を聞いてなくても......正直、歌詞は難しくてよくわからなかったんだけど(苦笑).........そこにこもる思いが、心をえぐるように伝わってきます。


苦悩の若き王アレックスの前に、ワインと蛇つかいと、なんだかよくわからないけれど、野卑な神なのかしら?アテナのようには洗練されていないけれど、熱狂的な人々に取り囲まれた神、ディオニュソス@きりやん(霧矢大夢)があらわれる。熱狂的な崇拝者の中には、アレックスの母もいる。

きりやんもまた、舞台の空気を変え、支配できる力のある人だな.....とあらためて感じます。ディオニュソスの歌が始まると、客席の気配が緊張し、ディオニュソスに向けて流れこんでいくのが分かる。しかもディオニュソスは色気のある神だ.......なんとも妖しい神様。きりやんがこんなに妖しい空気を身にまとうことができる人とは、申し訳ないけれどこれまで気づいていませんでした。

シビさんときりやんが、ともに歌う場面は圧巻。すばらしい。どちらもすごい力と思いを込めた歌。この場面が見られただけでも、今日来てよかった........とまたも思いました(苦笑)

アレックスに近づくディオニュソス。アレックスはディオニュソスを選ぶ。ディオニュソスはアレックスの影となって従う。


アレックスに期待と信頼を寄せ、つき従う部下たち。アレックスを戦いへと誘い出し、アレックスとともに走り続ける兵士たち。彼らはアレックスに夢を見出していたのかな.......ヘファイスティオン@まっきー(龍真咲)を見ていると、そんなふうに思います。

アレックスの存在が夢? 希望?

でも、夢は破れていくのね。どこまでも走り続けるアレックスに、疲弊し、脱落していく腹心の部下たち。

アレックスの周りに、さまざまな人々があらわれる。さまざまな情景があらわれる。

ただ「父王の死」の一瞬のためだけに現れ、歴史から捨て去られる花嫁。アレックスの妹クレオパトラ@はるちゃん(麻華りんか)。舞台にしばしばあらわれる花嫁に、私はとても魅かれました。このお芝居の本質から外れているのかいないのか、それもよくわからないのだけれど、彼女の空虚なたたずまいが、強く印象に残りました。

エジプトの歌姫の華やかさも、印象的だったな.....音姫すなおちゃん、かな?


アレックスが歩みを進めるに従い、舞台となる国が変わる。国が変われば神の呼び名も変わる。変わるのは呼び名じゃなくて、神そのものが変わるのかな。でも「人々がこめる思いが同じならば、神は同じ」という、そんなくだりが2幕あたりにあった気がする。これも印象に残った場面だな......


アレックスは、父が始めた戦いに勝利しても、戦いを止めない。さらに東をめざす。なぜ東を目指すのか、なぜ自分たちの国へ帰らないのか。腹心の部下にもわからない。戦いの女神にも走るのを止められない。勝利の女神ニケにも、わからない。

人間の営みが神の目論見を超えて動き始めた瞬間、ということなのかしら............

アリストテレス@まちおさん(北嶋麻実)は、歴史に残った事実を変わらず読み上げ続ける。タキさんが語るのが神々の目論見なら、まちおさんが読み上げるのはアレックスの足跡。人間の営み。対照的です。


アレックスの行く手に、父王の亡霊?が現れる。大きくて、偉大。

アレックスは父を超えるために走り続けたのかしら.....

父王フィリッポスであり、偉大な敵ダリウスでもあるケイさん(萬あきら)は、とってもかっこよかった。申し訳ないけれど、こんなにかっこいい人とはこれまで思っていませんでした.....いや、薄々気づいてはいたけれど、いまはっきりと認識しました。朗々と響く歌声も、印象的でした。

ダリウスの娘、スタティラ@白華れみちゃんを、アレックスは初めて娶る。けど、アレックスはスタティラを見ているようで、見ていない。遠くばかりを見ている。スタティラはそれに気づいている。アレックスとスタティラのやりとりも、ひりひりとしてせつない。悲しい。れみちゃんのもつ透明感が、切なさをより一層切ないものにする。


やがて、走り続けたアレックスに立ち止まる時が来た。そこで出会った人は........でも、それがこの旅のゴールだったのだろうか.....これがその答えだったのだろうか.....

何かに衝き動かされかのように、東へ、東へと走り抜けたアレックス。彼を衝き動かしたものは何だったのだろうか........答えは誰にもわからない、のかもしれない。

ただ、その何かは、いつの時代にも人々の心に潜むものなのではないだろうか....いわば時代を超えた共通の何か、がそこにあるのではないだろうか......


『A-“R”ex』は、荻田先生らしい多重構造を持つ舞台でした。目に見えているものは、単なる符号にすぎなくて。それにとらわれていると、何かを見落とすぞ、と。けど目に見えている符号もまた重要な意味をもっているから、気が抜けない。

「如何にして大王アレクサンダーは世界の覇者たる道を邁進するに至ったか」という命題に対して、結局答えはよくわからなかったけれど、わからないままにいろいろなことを考え、いろいろな思いの中にふわふわと漂っているのも心地いいかな........と思う。


ショーもなく、フィナーレもない。どちらかといえば地味な舞台だけれど、舞台装置や照明はよく考えられていて美しく、やっぱり宝塚歌劇だな、と思いました。お衣装も意外ではあったし、必ずしもセンスがいいとはいえないけれど、それぞれにキュートでした。

けど、これは私たちが期待する「宝塚歌劇」とはまったく違うものであることは確か。こういう芝居をあえて「宝塚歌劇」で上演する必要があるのか、という批判はあって当然かと思うし、「宝塚歌劇」を期待して劇場に足を運んだ人は、戸惑いを隠せないと思います。

......いつもの荻田先生の世界だわ、と言ってしまえばそれまでだし。

けど、この作品は、あさこちゃん、かなみちゃん、きりやん、それにシビさん、タキさん、それぞれに実力と個性を兼ね備えた出演者がいてこそ成り立つというか。この出演者がいたからこそ想起されたものではないかと思います。

そういう意味で、今ここで、この月組で演じることに意味のある舞台であることには間違いないと思います。そういう「生物(せいぶつ、じゃなくて、なまもの....笑)」的な作品が見られるのって、やっぱり醍醐味だと思うし。バウとかDCとかの小規模な公演なら、こういう実験的ていうか意欲的な作品があっていいと、私は思います。

『A-“R”ex』、私はとても面白いと思いました。好きです。この作品を観る機会を得たことに、感謝したいと思います。

あなたの未来に幸せの光が降り注ぎますように.....

この夏の月組東京公演で宝塚を卒業された、のぞみさんこと楠恵華さんのことを、ずっと密かに応援していたことは、ここにも何度か書きました。

のぞみさんは、私が初めて月組を生で観劇したときから、リュウさま(越乃リュウ)とともに刑事役で登場されたときから、その集中力というか、オーラというか、お芝居がすきなんだな、舞台が好きなんだなっていうイメージがあって、印象に残っていました。何度か月組の舞台を観るうちに、脇役として重要な人なんだな、というのもわかってきました。

1年ほど前からは「スカイレポーターズ」としてスカイステージの画面に登場する機会も増え、機転の利いたレポーターぶりに、頭のいい人だなぁと感心することも数知れず、でした。

『宝塚おとめ』を見て、のぞみさんが私と同じ学校の出身であることを知り、密かに応援するようになりました。私の出身校は、ユニークな人材を多数輩出しているのだけれど、タカラジェンヌまでいたとは!と最初は驚きでしたが。「私の後輩を観て頂戴!」みたいな気持ちで、密かに誇りにし、自慢に思っていました(苦笑)

そんなのぞみさんの突然の.......もしかしたらご本人にとっては突然ではないのかも知れないですが.......退団の発表には、ただただ驚き、戸惑いました。大劇場の千秋楽の頃には、そんな兆しはなかったように思われたから。長く続けていれば、きっと重要な存在になれる方だと信じていたので.......

せめて応援していた気持ちだけでも伝えられればと。「ありがとう」と「おつかれさま」の気持ちを伝えたいと思い。公演中ののぞみさんに、初めてお手紙を出しました。なんだかそうしないではいられない気持ちだったのです。

それから3ヶ月と半分がたった今日、のぞみさんからハガキが届きました。

緑の袴で白い大きな花束を抱いた姿。あまりに思いがけなくて、驚いて、悲しくて、けどうれしくて.........泣きました。

のぞみさん。
あんなに素敵な舞台姿を。たくさんのステキな思い出を。
そして、こんなにステキなお心遣いを。本当にありがとう。

今はどうすることもできないけれど、この気持ちを伝えたくて。ここに書きます。ここに書いたからといって、読んでもらえるわけじゃないけど(苦笑)

のぞみさんはきっと、宝塚での経験を無駄にすることなく、しっかりとご自分の足で新しい人生を歩み始めておられることと思います。
のぞみさんの未来に、つねに幸せの光が降り注ぎますように。
心からお祈りしております。

グレーのスーツの謎@『オクラホマ!』

10/8の日曜日には、母と母のお友達が2人で、日生劇場月組『オクラホマ!』を観にいきました。

母のお友達は、昔、越路吹雪さんの大ファンだったそうです。越路さんは日生劇場を気に入ってらして、コンサートを日生劇場で開かれたりしていたのだけれど、そのお友達は子育ての最中だったこともあって、一度も劇場に行ったことがなかったそうです。
だから「日生劇場で観劇する」ってことに、朝からウキウキ気分だったようです。

いっぽう私の母は、ワタシが3週間あまりも長引かせた風邪が、最後にシッカリ移ってしまって、前日からとっても気分が悪いらしい。日曜日も朝からとっても不機嫌。
「約束してなかったら、出かけないのに.....」とブツクサ、プンスカ文句をいいまくる母を車に押し込んで、最寄駅へ送り届けました。

終演の頃合を見計らって、乗り換えのターミナル駅に二人を迎えに行くと、待ち合わせ場所の椅子に、ゴキゲンで腰をかけている姿が目に入りました。ホッ!

顔を合わせるなり、開口一番「よかったわよ~♪」と声をそろえる二人。

轟悠ってひと、きれいな人ね.....

と。母のお友達はいいます。

スーツ姿なんてとってもステキだったわ....

え?スーツ?? 『オクラホマ!』って、ウェスタンものじゃなかったっけ??
スーツ着てるの?

そう。スーツ着て出てくるのよ~ステキだったわ.....でも、お相手が花總さん(花總まり)じゃないのが残念ね.......花總さん、キレイだったものね.......残念ね.....

お友達は、おハナとたかこさん(和央ようか)に魅かれて宝塚をまた見始めて、その途端に二人とも退団してしまって、それが残念で仕方ないのですね.....(苦笑)

それにしても、フィナーレのショーがあるのかしら?

「いいえ。フィナーレはないのよ。階段も出てこないしね」

.....なんだかよくわからないけど。まぁいいか...(苦笑) 他には?

おばさん役を男役さんがやっているのだけれど、とても上手なのよ。歌もお芝居も。でね、最後に男役さんで出てくるのだけれど、ちゃんと男役さんなのよ。すごいわね.....

リュウさま(越乃リュウ)のことですね......ワタシもお稽古場風景をみてビックリしたんですが。でも、いい感じのようですね。

それと今日は、昔上演したときのキャストの方々がお揃いで観劇だったそうで。最後にとどさま(轟悠)が

今日は先輩の方々が観劇されていたので、緊張しました

と。ご挨拶されていたそうです。

ちなみに今日のワタシの車のカーオーディオに搭載されているCDは『ネバセイ』ライブ盤。母のお友達は「やっぱり和央さんね.....いいわぁ」と。

ゴキゲンなお友達をお家まで送り届けた後。母に「キリヤン(霧矢大夢)はどうだったの?」って聞いてみました。だって。キリヤンが出てなければ母だって『オクラホマ!』観たいっていったかどうか....(苦笑)。したら

キリヤ......母はいつも、キリヤンのことをこう呼ぶのです(笑)......は上手だったわよ。やっぱり。でもね、なんか暗い役なのよ。残念ね.....

って。いろいろなブログやサイトで話題になっていましたが。やっぱりそうなのね。
これからのスターさんなのに、敵役はかわいそうね.......

でもね。あの役はキリヤにしかできないわ。難しいもの

とのこと。なるほど。リュウさまは?

上手かったわね。やっぱり。あの役で全体が引き締まってる感じよ

そうですか......

「でもね。なんといっても轟悠のスーツよ。グレーでね、すっごくいいスーツ着てるのよ♪」

スーツフェチは母親譲りなのですね、ワタシ(苦笑)

城咲あいは、まだ若いわね。すごく硬かったわ。轟悠と一緒だから緊張してるのね

だって、お相手は百戦錬磨のトップ・オブ・ザ・トップですものね......

紫吹淳と映美くららぐらい齢が違うかしら...???

ん...年齢的にも、学年的にも、こちらのほうが離れてるかも。

じゃあ仕方ないわね.......

でも、幼馴染の役なんだよね...たしか?

やっぱり難しいわね.......でも、ダンスがね、やっぱり違うのよ

ダンス?デュエットダンス?

そう。轟悠と城咲あいが踊ってた

じゃ、やっぱりフィナーレ、あるのかなぁ....??? 謎だ....

その次の週末に私自身が観劇したときに、この謎は氷解するのですが。
今日のところはここまでということで.......(笑)

感動的な作品を届けてくれてありがとう

昨日は風邪で体調を崩し、会社を休んで家で寝込んでました。

なので、珍しくリアルタイムで『タカラヅカニュース』を3回も見ちゃった(笑)

昨日の話題は、月組全国ツアー初日と花組『ファントム』千秋楽。
それに「のじぎく兵庫国体」開会式の宙組生のパフォーマンス。

「今日のトピック」の最初に「星組お稽古場風景の放映は諸般の都合により中止となりました」っていうお知らせから始まるのは、ご愛嬌とはいえない。興ざめです。がっかり。

月組全国ツアー公演『あかねさす紫の花』は、いい評判がもれ聞こえてきています。スポニチOSAKAでも、宝塚プレシャスでも、褒めちぎってます、って感じ。実際、映像で見ても、中大兄皇子@ゆーひさん(大空祐飛)の重々しさとか傲慢さと、大海人皇子@あさこちゃん(瀬奈じゅん)の真っ直ぐな感じとか甘さとかが、対照的でいいなって感じ。ゆーひさん、ほんとに立派な男役になられましたね......額田王@かなみん(彩乃かなみ)は、中日同様、愛らしさとか艶やかさとか、場面場面で的確に表現されている感じ。もう、文句なく上手い!ですね。

『あかねさす紫の花』自体、いい作品だし。ん......やっぱりチケットを押さえておくべきだったかしら......(苦笑)

ショーは、映像で見る限り、やっぱりとどさま(轟悠)とキリヤン(霧矢大夢)が抜けたのが痛いかな.......ゆーひさん、あひちゃん(遼河はるひ)、頑張ってください!

花組『ファントム』は、劇場で見るととっても感動できるのだけれど、やっぱり自宅の14インチのテレビ映像でみると、見劣りしますね.......当たり前か(笑)

春野さん(春野寿美礼)が、終演後のご挨拶で、いつになく感極まっていたのが、とてもとても印象的でした。

すでに宙組で高い評価をあげている作品の再演。屈指の歌唱力を誇るとはいえ、春野さんとたかこさん(和央ようか)とでは、まったく持ち味も違う。観客の期待の大きさも、他の作品とは比べ物にならなかったと思います。相手役のあやねちゃん(桜乃彩音)ちゃんとは初めての本公演、コンビお披露目でもあったわけだし。

そんな中、主演の春野さんの両肩にかかるプレッシャーは、いかばかりなものだったでしょう。

でも、連日満員の客席。あまたの感動の声。あちらこちらから聞こえるすすり泣きの声.........すべての公演を終えて。成功をおさめて。春野さんの胸には、どんな思いがこみ上げていたことでしょう.....??? 安堵感?達成感?

さらに。組替えや卒業するメンバーに話が及んだときに、言葉につまる春野さん...........いくつもの作品をともに作り上げ、頼りにしてきた仲間と別れるのはつらいのでしょう。寂しいのでしょう。いつものように「さらに前へ」と、ではなく、「頑張りたい」というような表現を選んだことに.......思いの深さを感じました。

でも。この深い思いを注ぎ込んだ花組『ファントム』は、ほんとうに感動的な作品だったと思います。

こんなに感動的な作品を、深い思いを、届けてくれてありがとう.........そんな気持ちが。画面の中の春野さんを見ながら、湧き上がるのを感じました。

思わず.......涙

自分でも思いのほかハマっていた、今回の月組公演でしたが、昨日無事に千秋楽を迎えたようです.....「ようです」というのは、私はその場に立ち会えなかったから。

昨日で宝塚を卒業されたゆら組長(夏河ゆら)....今は元・組長になってしまいましたが....それに、たまこちゃん(椎名葵)、のぞみちゃん(楠恵華)。それぞれに魅力的な生徒さんたちでした。

明るくて楽しくてリーダーシップにあふれた、ゆら組長。
愛らしくもあり、女らしくもあり。歌でもダンスでもステキな存在感を発揮していた、たまこちゃん。
そして、ずっと応援してきた、のぞみちゃん.....みんな、とっても好きなジェンヌさんでした。最後の公演は、3人ともとても輝いていました。

せめて出待ちだけ、お見送りだけでもと思っていたのだけれど、どうしても予定のやりくりがつかなくて、どうしようかな.....と思っていたところに、お友達から写メが。のぞみちゃんの入りの写真でした。
白いジャケットかなにかに白いパンツ。楽屋口で手を振る後姿の写真を送ってくれたのでした.....うれしい♪
こののぞみちゃんの視線の先には、えりーさんたちがいるのだな.....と思うと、ちょっと切なく甘酸っぱい気持ちになりました。最後の楽屋入りなんだな........

結局なんだかんだと用事が片付かなくて、出待ちは断念しました.......とはいうものの、何をしていても心は遥か、東宝に。「そろそろ大休憩の時間かな...?」「そろそろ楽が始まるのかな...??」「今頃はショーが始まる時間かな....???」「そろそろ階段下りが始まったかしら...????」などと.....(苦笑)

と。またまた、お友達から写メが。劇場前で白い花束を抱いた、袴姿ののぞみちゃんの写真......笑顔でした。いつもと同じ。いや、いつも以上の大きな笑顔だったかもしれません。「小さくてごめんなさい」って、お友達からメッセージが添えられていましたが、大丈夫。のぞみちゃんが笑顔だってことは、ハッキリわかりました。

のぞみちゃんの笑顔の写メを見て。なんとなくほっとして、あたたかい気持ちになりました。そして思わず......涙......のぞみちゃんが笑顔で卒業していくことに。そして、写メを送ってくれたお友達の好意がうれしくて....

退団者のパレードは、ゆら組長をはじめとして、明るく楽しく、シアワセなものだったそうです。ゆら組長は、とどさま(轟悠)の会の前でもていねいに頭を下げていかれたそうです.....同期ですものね。最後の同期を見送ったとどさま。さぞ寂しかろう..........

いつも思うことですけれど。ここを巣立ち新たな世界に羽ばたいていく、その行く手が明るくシアワセな光に満ちあふれていることを、心からお祈りしたいと思います。

あなたの笑顔を心に刻もう......

8/11(金)月組観劇の続きです。

東京宝塚劇場の立ち見席は、2階客席の最上段にあります。客席の入り口を入って、中段のA席、後段のB席を通り過ぎ、いちばん上まで階段を上がっていきます。さすがに高い.....

下から見上げると誰もいないように見えたのですが、上がってみると、皆、床に座って開演を待っていました......それはそうね。ずっと立ち続けることになるのだから、始まるまでは座って休んでおかないとね。ということで、私たちも、チケットに書かれた番号と同じ番号が振られた手すりの前に並んで腰をおろしました。地べたに座ってもあんまり困らない服装で来ておいて、よかった(笑)

「みなさま本日はようこそ東京宝塚劇場にお越しくださいました....」

という、とどさま(轟悠)のアナウンスとともに、立見席の地べたに座り込んでいたコたちがいっせいに立ち上がるさまは、ちょっと壮観かも(苦笑) 私たちも、遅れじと立ち上がりました。手には双眼鏡を持ち。前の手すりにもたれて臨戦態勢(笑)

『暁のローマ』は、前に2階のA席やB席から見たときも思ったけれど、舞台の上が色とりどりのお衣装できれいなので、2階の一番上から見下ろしていても、1階とかから見るのとまた違って、面白いなって思います。

それに、私は今回の『暁のローマ』の舞台、案外気に入っています。最初はチープだなぁ.....って感じが否めなかったのですが、シンプルなセットとカーテン、照明を組み合わせていろんな場面を表現するという趣向は好きです。上から見ていても悪くないと思います.....多少の改善の余地はあると思いますが。

舞台に人が大勢出ているのもいいのかな......人の動きが、それ自体お芝居の背景になっているっていうのかな。舞台の上のいろんな場所で、いろんな人が、いろんな芝居をしていて。その一つ一つを細かく見ていくのも楽しいのだけれども、全体として人が動くのを見ているのも、面白い。

この日はとどさまのお誕生日だったからでしょうか?出演者たちが、これまでになく熱のこもった演技をしているような気がしました。歌も、台詞も、力強い。
だから、遠くから見下ろしているはずなのに、そんなに遠くから見ている気がしない。見ているうちに引き込まれていきました。

カエサルを暗殺した後に、ポルキア@かなみちゃん(彩乃かなみ)が精神に異常をきたしてしまい、ブルータス@あさこちゃん(瀬奈じゅん)の腕の中で息絶えるシーン。切なさと悲痛さが痛いほど伝わってきました。かなみちゃんの歌とお芝居は、このような場面でも、ふっくらとしたやわらかさというのかな。それと、大きさを感じさせる。見ているこちらの心を締め付けるものがあるけれども、その一方で、なにか気持ちの広がりを感じさせるようなものがあります。うまいなって思う。

ポルキアが狂ってしまったのはブルータスの母から容赦ない責めを受けたせいにちがいない.....最初はそう思っていたのだけれど。それだけではなくて、なぜ夫がカエサル暗殺に至ったか、それまでどんなに悩んでいたか、ポルキアはそれらを身近で見つめていただけに、暗殺が招いた結果に心痛むところが多かったろう。自分が、カエサルによって自殺したカトーの娘だから、ブルータスは暗殺に導かれたのだ、と見る世間の目もつらかったろう.....きっとポルキアは、そんな自分を嘆くのではなく、自分がブルータスを苦しい立場に追い込んだのだ、と、自分を責めたに違いない。ポルキアはそれほどの「愛」でブルータスを包み込んでいたんだろうな....

洗っても洗っても落ちないカエサルの返り血......それは、そそいでも、そそいでも、そそげないブルータスの汚名の象徴?.....と、思わず深読みをしてしまいました...

今回気づいたことがもう一つ。ブルータスが従者の手を借りて自害する場面を、腕組みをして見つめているキリヤン(霧矢大夢)の威圧感......立派な姿でした......

でもそのキリヤン、後説のときに、台詞をわすれて詰まったようです。珍しい....
「え~~....」と一瞬視線が泳ぐキリヤンに、目配せするみっちゃん(北翔海莉)。二人の息の合った様子が微笑ましかったです。


幕間は、劇場2階のロビーで、たーさまとそのお友達、富山から来たお友達らと談笑。そして、少し早めに客席に戻り、2階席の最上段へ.........案外急な階段です。振り向いて見下ろすと、相当高いな.....って印象があります。お芝居を見ている間はあんまり感じなかったのですけどね。


ショー『レ・ビジュー・ブリアン』は、上品できれいなショーです。でもちょっと小さくまとまりすぎな部分もあるかしら.....2階席も下の方からならあまり気にならなかったですが、やっぱり、最上段から見下ろしていると、なんとなく小さいな....って思われる部分があります。この「小さい」って感覚は、どういうものかしら....っていうか、どこからくるのかしら?って、ちょっと考えたりしました。

けど、終わった後に何かほんわかと幸せな気持ちが残るショーです。そこはとってもいいと思う。

タンゴの場面、とどさまの声は、いつもより以上に長~くのびて、大きな拍手を浴びていました。

とどさまがワインのビンを持ち、赤ワインを模した液体でテーブルに描く絵は、たくさんのハート、ハート。上からなので、とてもよく見えました。さすがとどさま。お絵かきが上手です....

そうそう、プロローグに登場する美女、一人はみりおちゃん(明日海りお)だけど、もう一人、愛らしい男役さんは誰?っておもってたら、夢咲ねねちゃんでした......娘役さんだったのね。ごめんなさい(苦笑)

フィナーレ。エトワールで登場するとどさまが身に纏う白いレースは、とても上質のもののようです。最上段からみていても、その質感が違うのがわかります。とどさまも『NOW ON STAGE』か何かで「ほんとうにいいものなので、引っ掛けたりしないように神経を使っている」と語っていましたが。

今日も、のぞみちゃん(楠恵華)は、満面の笑顔でパレードを。そして、力いっぱいシャンシャンを振り、思いっきりポーズを決めていました。そして、大階段を、舞台を、客席を見渡す笑顔.......落ち着いてみえるときもあれば、いたずらっ子にみえるときもある.....月組の舞台を見るとき、のぞみちゃんの存在は自分の中でこんなにも大きかったのだなと。あらためて感じました。寂しいな。

のそみちゃんの笑顔を忘れないように。心に刻みつけよう......


終演後。劇場外に出ると、劇場正面を一面に埋める、とどさまの会の方々の数にビックリ。さすが、お誕生日は違うな......と、つくづく感心しました。が。

私たちは出待ちはしないで、シャンテ地下のキャトルレーヴに直行。私は久しぶりに『Le Cinq』を買いました。やっぱり『暁のローマ』の脚本、チェックしようかなと思い。

初めての立ち見券♪

先ほど記事をアップしたのだけれど、あまりに長かったので2つに分けました。ということで、前半。

星組が初日を迎えた 8/11(金)は、月組特出中の専科・とどさま(轟悠)のお誕生日でもありました。ちょうどこの日、ネットで知り合ったコが富山から月組を観劇に来るということもあって、チケットはないけど入り待ちだけでも見れたらね....なんて言いながら、最近知り合ったお友達のトモちゃんと二人で東京宝塚劇場に赴くことにしました。

お天気はあいにくの曇り空。でも、入り待ちをするのなら、あんまり日照りが強いよりも、曇り空のほうがうれしいかも......なんて思いながら、乗り換えのために新橋駅のホームに降り立ったちょうどそのとき、トモちゃんからメールが入りました。

「立ち見券がまだ残っているけど、買いますか?」

もちろん、見れるものなら見たいです。だから早速「買いましょう!」とメールして。京浜東北線の最後の各駅に飛び乗って......朝10時半を過ぎると、京浜東北線は有楽町に止まらなくなるのです.....有楽町に。有楽町駅から小走りで。大急ぎで劇場に駆けつけたのでした。

劇場に到着すると、チケットセンターの前でトモちゃんがピンクの団扇を持って立っていました。チケットを買ったら団扇をもらったのだそうです。表は「Takarazuka Review」の文字と各組のマークの入ったかわいい団扇。でも、裏を返すと、丸に東のヒガシマル醤油のマークが.....(苦笑)

立ち見ではあるけれど、今日の1回公演をなんとか確保したので、ひとまず安心。そこで、入り待ちの列の隙間をぬってシャンテ前に移動。あさこちゃん(瀬奈じゅん)の会と思しき列の後ろに回り込みました。

と、そこに車が到着。降り立ったのはやっぱりあさこちゃん。なんとなく涼しげなシャツで、目深に帽子をかぶって。手早くお手紙を受け取り楽屋口へ。

続いて、ゆーひさん(大空祐飛)が到着。グラフかな?レビュー本かな?何かで、元・宙組の和央ようかさん、花總まりさんが着てたのとおそろいの、ダンガリーっぽい花柄のシャツを着ていました。で、やっぱり目深にお帽子。手早くお手紙を受け取って楽屋口へ。

あさこちゃんとゆーひさんの会の人たちが移動した後に、とどさまの会の方々が入ってきました。ラベンダー色の薄いシャツが涼しげです。最初はあまり人数も多くなかったので、ちょこっと脇でギャラリーをするつもりだったのだけれど、だんだん会の方が増えてきて。ギャラリーも増えてきて。すごい人数になってしまいました。

きっとどこかにとどさまファンのオネエサマ、たーさまもいらっしゃるはずと思って「どこ?」ってメールをしてみたら「会社です」と....(苦笑)

富山のお友達も「着いた」ってメールをくれたけれど、あまりに人が多くて身動きがとれず。「終ってから会おうね」ってことに.....終ってからっていうのは、とどさまが楽屋入りしてから、ということなんですが(笑)

やがて、とどさまの会では、ひまわりの花が用意されました。
「あれを渡すんだね」
「お誕生日のプレゼントだね」
なんて、話しながら見ていましたが。それにしても、とどさまの到着が遅い......

正直いってワタシ、月組の生徒さんはあまりよくわからないのですね.....いわゆる「見分けがつかない」状態(苦笑)なので、とどさまを待つ間、何人かの生徒さんが楽屋口に消えていったのだけれど、どれが誰だか......辛うじて、みっちゃん(北翔海莉)がわかったぐらい....『宝塚おとめ』を見て、もっと勉強しないと、ですね(笑)

小一時間も待ったでしょうか.....? 漸くとどさまが到着。黒いシャツに黒いパンツ。スリムで颯爽としてます♪ファンの代表の方が花束とお手紙を渡したようです.....「ようです」というのは、あまりに人数が増えて列が遠くまで伸びていたので、花束を渡しているところが遠くになってしまったのです.....残念!

とどさまも無事に楽屋入りして、入り待ちの方々も解散。すごい人数の人々が集まっていました。それに、とどさまはやっぱりキャリアが長いせいか、ファンの年齢層も少し高めなのですね。でも、オバサマ方もおとなしく列を作って待っていました。宝塚ファンは皆、お行儀がよいです♪

富山から来たお友達とも無事に会えて、シャンテの地下でお昼を食べて。LUSHでちょこっとお買物をして。

いよいよ立ち見デビューです♪

笑顔がこんなに痛いものとは.....『暁のローマ』3度目の観劇

8/5(土)昼の部の話の続き,,,,,,かな。

何度か書いているように、今回の月組公演は、私がずっとひそかに応援し続けていたのぞみちゃん(楠恵華)の、最後の公演となってしまいました。
東京公演の集合日に発表された対談者リストに「楠恵華」の名前を見たときの衝撃。東京宝塚劇場の初日、舞台の上にのぞみちゃんを見たときの、何とも言えない寂しさ。愛しさ。それまで当たり前のように席を並べていた同級生が、転校するって決まって、はじめて淡い恋心に気付いた女子高生のようなものです(笑)。それからずっと私の目はひたすらのぞみちゃんばかりをおいかけています。

『暁のローマ』では、カシウス@ゆうひさん(大空祐飛)のもとに集い、カエサル@とどさま(轟悠)暗殺を謀る男たちの一人。アルビーヌスという役名はあるけれど、その名前が作品の中で特別な意味を持つわけではない......ローマの歴史に詳しい人には意味のある名前かもしれないけど、あいにく私は知らない。

だけど、男たちの中で、アルビーヌスの役割は明確で重要だ。どんな男たちが、なぜ、暗殺に加わったのか。暗殺が、かれらにとってはどうだったのか.......欲求不満。変化への希求。暗殺のカタルシス。暗殺がもたらした結果に対する絶望感.......アルビーヌス@のぞみちゃんは、その場面、場面でそれらをはっきりと表現していました。何か怒りにも似た焦燥感、強い意思、高揚感、達成感、自尊心、そして深い絶望感。そんなものが伝わってくる。ほんとに熱く、骨太な演技をする人なんだなって改めて思いました。

トレボニウス@リュウさま(越乃リュウ)のように、暗殺決行前の高揚感に酔うこともなく、企てが失敗に終わった後、動揺して発言を翻したり責任転嫁をすることもない。アルビーヌスのほうが、地に足をつけた人物のようです........ちょっとリュウさまはかわいそうな役どころね(苦笑).......この二人が対比して描かれているのも、物語のメインからは外れているけれども、面白いなって思います。

カシウスの家に集った男たちが、まどろみの中で夢を見る場面。
「殺したり 壊したり 派手なことがしたいだけ」
と。気持ちよさそうな歌声。

「すべてはローマのために」
と。誓い合うときの力強い眼差し。

前言を翻すトレボニウスに怒り、指差し責めるのを、仲間に抑えられる。それでも抑えきれない怒り。

市民の糾弾から逃げるときの、慌ておびえる姿。

のぞみちゃん......リュウさまもだけれど.....月組の舞台に欠かせない、大切な脇役さんだと思います。その一人が欠けてしまうのが...いつかは卒業するのがタカラヅカのさだめとはいえ、なんとも寂しいです.....


レビュー『レ・ビジュー・ブリアン』は、プロローグののぞみちゃんの満面の笑顔が印象的です。誰よりも大きな振り。体の軸がぶれてしまうぐらい力をこめたキメポーズ(苦笑)
何度見ても、やっぱりのぞみちゃんばかりを目で追っています。センターなんて見ちゃいない.....あさこちゃん(瀬奈じゅん)、かなみちゃん(彩乃かなみ)、キリヤン(霧矢大夢)、ごめん(笑)

「宝石の男」の金色の衣装。のぞみちゃんの、シアワセそうな笑顔に........キレイなコだったんだなぁ....って今更ながらに思いました...失礼な!(苦笑)

それにしても、慌しいショーだなぁ.....と。2階席から見下ろして、あらためて感じました。上手から下手へ。下手から上手へ。なんだか常に、ダンサーたちが流れているような気がする。もちろん、ブラックダイヤとか。タンゴとか。そうでないシーンもあるのだれど、なんとなくいつも、慌しく人が動いているような.......もちろん、それが不快というわけでもないので、いいのだけれど。
でも、ショー全体がザザザ~ッと、あ~っという間に流されて終わってしまうような、そんな印象が......(苦笑)

そんな中。のぞみちゃんの笑顔に出会うたびに、このコ、ほんとうに宝塚が、レビューが好きなんだな......って思うとなんだか胸が痛い。この幸せそうな笑顔が、私たちを元気づけ、ほんわか幸せな気持ちにさせてくれているのですよね。けど、その笑顔を見るのが、今はせつない.....

笑顔がこんなに痛いものとは......